顔の横から足が出ていた

カテゴリー「心霊・幽霊」

大学で同じ学科の友達が体験した話。
想像力豊かな方や多少の過激なシーンが苦手な方はスルーしてください。
なるべくは不快にさせないようにやんわり書きます。

その友達・・・仮にA君としときましょうかねぇ。
Aの実家は栃木県にあって、詳しくは知らないが宇都宮のちょい下って言ってた。

高校3年の初冬。
推薦で早くも大学が決まっていたAにとってのこれからは暇でしかなく、周りの連中は受験に追われ最後のスパートに入っている為、遊びにも誘えない。

そこで1人旅を決行することに。
本屋の旅行コーナーであれこれ考えた末、北海道に居る従兄弟に会いに行ってみようと思い立った。
1人旅は憧れるが最初から最後まで1人で旅するのは嫌だったらしい。

早速、両親に許可を貰って飛行機に乗り、向かうは北海道札幌市。
雪が降っていて寒かったが何とか到着し、事前に連絡を取っていた従兄弟とも再開を果たせた。
どうせなら札幌を案内してやるよという流れになり、ラーメンを食べたり時計台で記念撮影したりしていたそうだ。

そんな昼時も過ぎたころ、詳しい場所は分からないがビルやホテルが立ち並ぶ道を歩いていた時、急に前方から「きゃー!」と悲鳴が上がり、続いて「救急車!早く救急車呼べ!」と何やら騒いでいる声が聞こえる。

何だ?急病人か?と思い、「何だろうな?」と従兄弟に言うと、「見に行ってみようぜ」と従兄弟が言うなり走り出した。
正直あまり乗り気じゃ無かったが、好奇心と少しならという気持ちで、野次馬に走ることに。

しかし、着いてみると事態は深刻かつ想像してたものとは少し違っていた。
どうやらビルの清掃員が窓の清掃中に落下したようだった。
その現場は物凄い光景であり、辺り一面血に染まっていた。

Aの話を聞いてて俺もイタズラでマンションの上から鯖を落としたことがあるが、ビタン!といくかなと思いきや木っ端微塵に弾けたのを思い出した。

話を戻すが、その赤色の中心に落ちた清掃員がまだ居るのだが、顔の横から足が出ていたと言うのだ。

「ん?顔の横から足?どういうこと?」と俺がAに質問すると、「・・・例えるとこういうことだよ」とガラケーを開いた状態からパタンと閉じた。
ほんの野次馬精神で行ったAは心の準備も出来ておらず、ただ目の前に広がる強烈に悲惨な光景にグロいを通り越してただ呆然と固まっていたという。

その後は救急車やら警察やらが来て、野次馬はすぐに解散され大変だったみたい。
Aは呑気に1人旅を楽しむ気分には当然なれず、一泊もせずすぐに栃木に引き返した。

で、Aが栃木に帰って3日程たったある日、札幌の従兄弟から電話がかかってきたという。
出てみると開口一番「お前、大丈夫だったか?」と聞かれた。

Aは「あぁ・・・暫く食べ物受け付けなかったけど」と返すと「いや、そうじゃなくてあの後何もなかったか?」と従兄弟。

Aは訳もわからず「別に何もないといえば何もないけど・・・どうしたの?」と聞くと、とんでもない話が返ってきた。

以降、従兄弟の体験談である。
家に帰り、何も食べる気もしなかったので、すぐに部屋の電気を付けたままベッドに倒れこみ気付くと寝ていた。
が、ふいにバン!バン!という音で目が覚める。

「何だようっせーな、起こすなよ」と半ギレで目を擦りながら部屋を見渡すが、特に変わった様子もない。
尚も音は続いており、どうやら部屋の外から音が聞こえると分かった為、ベッドから起き上がり、何の気なしに部屋のドアを開けた。

ドアを開けると薄暗く短い廊下があり、その先には下に降りる階段が見える。
どうやら音はその階段から鳴ってるみたいだったので、親が呼んでんのか?と思い、足を一歩部屋から出した瞬間に息が止まりそうになったという。

階段の先から足が見えたのだ・・・。
普通に考えて人が一階から二階に上がってくる場合、最初に見えるのは頭である。
が、今見えるのは足・・・瞬間的に昼間の光景が頭の中にフラッシュバックした。

幸か不幸か金縛りで体が動かないということはなかったので、もの凄い勢いでドアを閉め、横にあった机をドアの前に移動させ、つっかえ棒をしてドアから一番離れた壁に寄りかかりドアを凝視。
暫くするとベタ・・・ベタ・・・と音が変わり、数分後にドアにゴン!と何かがぶつかる音がした。
何がぶつかったかは想像もしたくなかったという。

すると「ん~・・・」という声が聞こえたと思ったら急に静かになり気配も消えたという。
ちなみにその声は頭に直接響くような声だったらしい。

それからは一睡もしないで朝を迎え、恐る恐るドアを開けると特別変わったこともなく、一階では母親が普通に朝飯を作っていた。
そんなことがあったから従兄弟はAが心配になり、電話をかけてきたと言うのだ。

ちなみにAの所にソイツは来ていないが、今でもあの光景は鮮明に思い出せると言っていた。

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