日が暮れた学校にて

カテゴリー「心霊・幽霊」

俺の通ってた高校には外国人のALT(外国語指導助手)がいた。
その人が前の学校で体験した話。

その学校はそれぞれ六階建ての旧校舎と新校舎から成り立っていて、一階と三階に中通路があってそこで繋がってるような造りだったらしい。
職員室はそれぞれ六階にあって、その先生他数人の先生は旧校舎の職員室を使ってたそうだ。

んで、昼間は旧校舎も新校舎も普通に授業や部活、HRで使用するんだけど、生徒が皆帰宅して日が暮れる頃合いになると、何故か旧校舎の職員室の先生たちは全員荷物をまとめて新校舎の職員室に移っちゃうんだって。

でも、ALTはいわば外部の雇われ教師みたいなもんなんで、その先生だけ新校舎の職員室に机を用意してもらえなかったんだそうだ。(忘れられてたのか?)
で、仕方ないから夜になると一人で旧校舎に残って仕事してたらしい。

そんなある夜の事、いつも通り一人旧校舎の職員室で授業のプリント作りをしていたそうだ。
明かりがついてるのは職員室だけの真っ暗な旧校舎で、物音一つせず静まりかえり、先生も集中してPCと睨めっこしてた。

と、突然、職員室の隣の教室から「ダンダダンダン」と大きな音がしたんで先生は椅子から飛び上がるほど驚いた。
よく聞くとどうやら隣の教室で誰かが黒板にチョークで何か書いている音のようだ。

少しして音が止んだので、先生は不思議に思いながらも、「誰か生徒が残ってたんだろう」と解釈して仕事に戻ったんだそうだ。
再び静寂が戻り、自分が打つキーボードの音だけが職員室に響く。

と、今度は「タタタタタタッ」と廊下を走る足音が聞こえた。
しかも、その足音は、座っている自分の左の方にある職員室の扉のすぐ前から走り出したらしい。
普通だったら、この時点でビビって逃げる所だろうが、まさか幽霊だなんて少しも思ってなかった先生は「ハハーン。生徒が僕に気づいて、イタズラして脅かそうとしてるんだな」と解釈して、むしろ「次は何が来るのかな?」なんて待ってたらしい。

と、先ほど廊下の端の方へ駆けていったヤツが、今度はゆっくり歩いて職員室の先生の机の側の扉の前まで戻ってくる足音が聞こえたんだって。
「コツコツ」という足音が扉を挟んだ向こう側に止まったのを聞きながら、先生はニヤニヤしてたらしい。

しばらくの静寂。
先生も固唾を呑んで次なるアクションを待った。

と、次の瞬間、扉の脇に置いてあったゴミ箱(よく教室にあるやつ)が、いきなり「ゾゾゾゾゾゾゾゾ」と音を立てながら動いて、唖然とする先生の目の前でバタンと倒れた。

先生は突然の事にパニックになりながらも「これはやばい!ここにいたらまずい!」と思って慌てて逃げ出したそうだ。
だが、不運なことに職員室は最上階の六階で新校舎に逃げるには、階段を三階まで下らなきゃならない。

そんなに若くない先生だが、後ろから足音の主が追いかけて来るような錯覚に駆られ、無我夢中、全速力で階段を駆け下り、なんとか中通路まで辿り着いた。
そのまま通路の半分くらいまで逃げた所で、立ち止まり振り返ったが誰かが追ってくる気配も無かった。

安心すると同時に疲れがどっと出て、先生はその場で膝に手を突いて前ががみになって呼吸を整え、その状態のままふっと顔を上げたんだ。

その瞬間、先生の横を体が半分透けた小さな女の子が旧校舎の方へ走り抜けていったそうだ。

先生はさっきまでの倍のスピードで新校舎の階段を駆け上がり、新校舎の職員室に駆け込んで今、目の前で起きたことをまくし立てたらしい。
するとそれを聞いた他の先生方は「え、君、知らないで旧校舎使ってたの!?」と驚いたらしい。

曰く、旧校舎は昔から夜になると幽霊が出る事で有名で、だから遅くまで残る先生方は、日が暮れる前に新校舎に移るようにしているんだとの事。

「全く、教えといてくれよ!と思ったけど、おかげで新校舎に机を用意してもらえてラッキーだったよ!HAHAHA!」と、先生が楽しそうに英語で語ってくれました。

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