祖父の生きた最後の姿でした

カテゴリー「心霊・幽霊」

聞いた話。
ある日、頼まれて人の山で木を切り倒していた時のこと。

チェーンソーのエンジン音に紛れて、人の声が聞こえたような気がした。
エンジンを止めて耳を澄ますが声など聞こえない。辺りを見回しても人の姿はない。
そんなことを何度か繰り返すうちに、気のせいだと思うことにした。
物音に混じって人の声が聞こえるような気がするのは良くある錯覚だ。

そうこうするうちに、一本の木を切り倒している最中、切り口に刃を挟まれ、チェーンソーが止まってしまった。

子供の声:「帰れ」

一瞬、子供の声が背後からはっきりと聞こえた。
驚いて振り向いたが、やはり人の姿はなかった。

『山の神様が木を数える日』
もう一つ山での話。

祖父は伐採を生業としていました。
ある時祖父は、山に買ったばかりのチェーンソーを忘れてきてしまったので取りに行くと言い出しました。
しかし、生憎その日は『山の神様が木を数える日』でして、山に入る事を禁じられていたのです。

いつもは頑なにその掟を守る祖父ですが、何故かその日だけは家族がどんなに止めても聞き入れません。
結局、皆の反対を押し切って祖父は一人で山に入ってしまいました。
それが祖父の生きた最後の姿でした。

翌日、帰らぬ祖父を村中の人間で探しましたが、夕方近くなって、祖父は良い枝ぶりの大木にビニール紐を括り付けて首をつっているのを発見されました。

山の神様の日に山に入ると、神様が間違えて木と一緒に数えてしまうといいます。

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