守護霊ではなかった

カテゴリー「心霊・幽霊」

小学生低学年くらいの時、若干オカルティーな母親に連れていかれた寺だか神社だかでそこの偉そうな爺ちゃんに「浅葱色(あさぎいろ)の浴衣を着た女性が守護霊だね」と言われたことがある。

一応言っておくと、その頃私は謎の頭痛で学校を休みがちになっており、病院でも異常が見つからない事に心配した母親が色々講じてくれた手の一環であったので、別に母親はサイコでも何かの狂信者でもない。(人の魂が見えると言うしスプーン曲げができるから普通とも言うつもりはないが)

果たして何が効いたのか、成長するにつれ自然に謎の頭痛に悩まされることは徐々になくなっていった。

時は経つこと十数年、就職してから数年経った夏の日。
幼なじみの彼女と遊びに行った帰りに、気まぐれで駅にいた占い師に見てもらった時。

「あんたの後ろに浴衣の女性が見えるね」と言われた。

守護霊の話を聞いたのは実に小学生以来。

「昔そう言われたことがあります!守護霊なんですよ」と言うと占い師は「守護霊?とんでもない、あんたとり憑かれてるよ。しかもこりゃ前世からだね。あんたを恨んでるのかな。よっぽど執着があるみたいで、それで昔からずーっと憑いてるみたい。まあ恨まれてるとしたらあんたの前世だろうから、あんたは巻き込まれて災難だね。でも大丈夫、彼女さんの守護霊が強いから。彼女のご実家は立派な家系じゃない?余程いい人が守ってるよ。あんたも好かれてるみたいだから一生守ってもらいなさい。」

私は生まれてから二十余年、いやそのずっと前から恨まれていたということか。
思えば、確かに彼女と出会って、仲良くするようになってから徐々に健康になっていったような・・・。
そして実際、彼女の家は地元の名士というか由緒ある家系でぶっちゃけ大地主だ。

まあ、だからというわけではないが、お互いがちょうどいい歳であったし、その後しばらくして彼女に結婚を申し込んだ。

彼女が身をよじって「ひどい!私の体と遺産と守護霊が目的なのね!」と言われた時は爆笑したが、
その後彼女は泣いて喜んでくれた。
私もこんな嬉しい事がこの世にあるのかと思うほどだった。
その日は私達にとっては忘れられない日になったが、私にとって忘れられないことがもう一つある。

彼女に結婚を申し込んだその夜、私の両頬に冷たい手が触れる夢をみた。
誰かが私の顔を手で挟んで、じっくり見ているようだった。

私が目を開けようとするとその手はスッと離れた。
名残惜しむように、慈しむように。
目を覚まして見えたのは健やかに眠る彼女の寝顔だけだった。

前世の私が何をしたかは分からないが、恨むと同時に愛されていたような、冷たい手が触れた頬の感触を忘れられないでいる。

ブログランキング参加中!

鵺速では、以下のブログランキングに参加しています。

当サイトを気に入って頂けたり、体験談を読んでビビった時にポチってもらえるとサイト更新の励みになります!