新聞配達で起こった話

カテゴリー「不思議体験」

さっき、新聞配ってるオッサン見て久々に思い出したから投下する。

俺が学生時代の話なんだけど、いわゆる新聞奨学生をやってたんだ。
学校行きながら朝早く起きて(3時~5時ぐらい)新聞配るのって意外にきつくて、
始まって1ヶ月で軽く音をあげてた。
それで新聞配達って、まぁやった事ある人は分かると思うけど不着っていうのがあってさ、要は配り忘れなんだけど、新人の俺はけっこう不着してたんだ。

だけどその中の一つ、田口さんっていう一軒家だけは何度やっても不着になる。
表札確認してるし、間違いは無いはずなんだけどなぁって納得いかなかった俺は、ある日、確かめるためにその家に新聞入れたら携帯で写メる事にした。

田口さん家のポストはドアに直接付いてるいわゆるドアポストという奴。
角度的に全部は入らないので、三分の一くらいははみ出ている感じ。
とりあえず写メり、証拠を手に入れたのでまた配達に戻ろうとしてたら、はみ出てた新聞が中に引っ張られた。
正直な話、はみ出てたから誰かが盗んでたのかもしれないと思ってた俺は、それを見て安心して、配達を終わらした後支店に戻った。

その日はいつもより早く終わったため時刻は5時手前。
支店には2つ上の先輩だけだったのでジュース飲みながら談笑。
そんで話は、俺の不着の話になり「今回は写メ取ったから大丈夫ですよ」と、先輩に写メを見せる。
そしたらいきなり先輩が笑い始めた。正直意味が分からない。

「何で笑うんすか?」

「いや、お前が不着すんのも無理ねぇわ。
お前が入れたの確かに田口さんだけど、その隣にも田口さんあんだよな」

先輩いわく、田口さんちは珍しい事に同じ名字の家が二軒並びになっているらしい。

「マジすか?じゃあ俺が入れてた田口さん2週間分得っすね~」

「いやそれはねぇよ。あそこんち一年ぐらい前から空き家で、誰も住んでねーから」

「え?でも今日中から新聞引っ張られたんすけど・・・。」

俺の返答に先輩は驚いたらしく、2人で確かめにいこうと空き家に向かうことになった。
空き家は鍵がかかっていて、早朝に迷惑ながらもチャイム鳴らしたが誰も居ない。
もしかしたら泥棒かもしれないと先輩は警察に連絡。

しばらくして警察が来て、事情を説明すると、窓など人が入れそうな所を調べ始めた。
結局、全部鍵が掛かっていたため泥棒の線は薄いという結果だったが後日念のため鍵を開けて調べてくれることに。

そして後日、ここからは警察に聴いた話だが、中は特に荒らされた様子もなく、
窓にもしっかりと鍵が掛かっていて、泥棒はまずないとのこと。

ただ玄関には俺が入れた新聞が散らばっていたらしい。
そして最後に警官が気になる事を言っていた。

「ん~でもおかしいんですよね~。この家のポストってマンションみたいに中に受け皿があるんですが、新聞は玄関の床に直接散らばっていたんですよ。」

受け皿に入りきらないで溢れたとしても、何部かは必ず受け皿に残る。
ただ警官の話では全てが床に散乱していたらしい。
そもそものあのポストは中から引っ張らない限り絶対に入らない。
誰かが毎日中から引っ張らなければ新聞は入らなくなっていたはずだ。

結局、勘違いという事でその話は終わった。
一応しばらく警官が巡回警備してたらしいが、人がいる気配はなかったらしい。
今もその家があるかどうか分からないけど、あの日、中から新聞を引っ張ったのは何だったのかと思うとゾッとする。

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