助手席の幽霊

あれは俺が無職だった2年前の夏の話です。
昼ごろに目が覚めて、散歩に出かけようと犬を連れて外に出たんだ。
我が家は玄関の前に駐車スペースがあるのだけれど、その駐車スペースの入り口、つまり家の敷地の入り口の両脇に、盛塩がしてあった。
オイオイ、なんだこれーと思った俺は、夕方になり家に帰ってきた母親にあれはなんだと聞いたんだ。
そのとき聞いた母親の話はこうだ。

夜、俺の兄貴が仕事から帰ってきて、ニヤニヤしながら俺と親父の居所を聞いたんだそうだ。
母親が不信に思って何かあったのか?と兄貴に聞いたら幽霊が出た、と答えた。
ここからは兄貴から聞いた話だ。

兄貴は駅から自転車で帰ってくるんだが、家から20mくらい離れたところまで来て、親父の車の運転席に誰か乗っていることに気がついた、兄貴はすぐ車は発車するだろうと思い、自転車の速度を緩めた。

でもいつまでたっても車は発車しない、兄貴は不思議に思って車に近づいた。
もう車の中の人物がはっきりと見ることの出来る位置まで来た。
車に乗っているのは、黄色いポロシャツを着た知らない男。
おや!?と兄貴が思った瞬間、その男はハンドルに倒れこむようにすぅ・・・っと消えた。
その時間帯俺は寝ていたし、父親は何時も使っている車ではなく、原付バイクで仕事に行っていた。
その日は親父の仕事場の近くで大きな祭りがあって、道が込むのが分かりきってるから、親父は原付で出かけていた。

俺はこの話を聞いてしばらくは、夜家に帰ってくるのが怖かったよ。
ちなみにこの話にはちょっとした落ちがある。
その駐車していた親父の車の運転席から丁度見える家、そこのご主人は若くしてその家を建てたんだけど、白血病で長いこと入院していた。
そして我が家の幽霊騒動の次の日、そのご主人は病院で亡くなった。

あんまりに出来すぎた話で逆にリアリティが無いかもしれないけど、これが我が家に起きた幽霊騒動です。

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