子宮必要ないわよね?

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

5年程前の話。
当時20歳の私はコンビニバイトをしていて、そこに月に1?2日だけ出勤していた(店長の知り合いか何か?)50代後半のおばさんAがいた。
シフトが重なる事も無かったので特に接点が無く、たまに会っても軽く挨拶する程度でろくに話した事も無かった。

ある日の午後のシフトで私は在庫整理、もう一人はレジをしていた。
すると、たまにしか鳴らない電話が鳴って当然私が出る事に。
電話の相手はAだった。

A:「あ、私さん?Aだけど。店長いるかしら?」
私:「すみません、今店長は不在です。」
A:「あらそう・・・私さん、今時間大丈夫かな?」

大丈夫も何もバイト中なんですけど・・・とりあえず用件を聞いてみた。

A:「・・・私ね、子宮癌なの。それでね今日病院行ったらね今度摘出することになったの。子宮摘出って穴から棒突っ込んで掻き出すんだよ・・・そんなの怖くて出来ないよ耐えられないよ辛いよ」という内容の事を一気に話してきた。

そんな重い話だとは思ってもいなかったし、第一名前位しか知らないのに何を言えばいいんだよって正直思った。
それでもそんなことになってしまったなんて大変だと思って一生懸命励ました。
Aはその間ずっと「でも・・・」「すごく痛いらしくて・・・」「死ぬのかな・・・」等ネガティブな発言。

すると話の途中で急にAが「私さん彼氏はいるの?」と聞いてきたので、?と思いながらもいないと即答してしまった。

A:「そっかー。ねね、私さん今度の木曜日はシフトはいってる?」
私:「木曜日・・ですか?いえ・・・バイトは休みですけど・・何でですか?」

A:「木曜日さぁ一緒に病院行ってさぁ一緒に子宮取ってもらおうよ」
私:「・・・・え?」

A:「ね、そうしよう!彼氏いないなら必要ないよね!横に並んで一緒に取ってもらおう!!一緒に掻き出してもらおう!私さんも大丈夫だって言ったじゃない!2人なら怖くないよ!」

私:「・・・・は?・・・いや・・・それはちょっと・・・おかしくないですか・・?」
A:「なんで?大丈夫って言ったの私さんだよ?自分は嫌なの?自分は取りたくないの?」

本気で言ってた。
声がさっきと全然違った。
そこからはよく覚えてないけど、必死で逆上させないようにいろいろ言い訳をして断った。

A:「そっか・・・私さんは取れないのね・・じゃあ、せめてお願いしたいんだけど」

そのお願いの内容が、今電話越しに、今日病院でAが先生とした会話を再現したいので先生のセリフを言えって事だった。

会話の内容↓

先生:「あなた女なんでしょう!?」
A:「はい・・・女です・・」

先生:「子宮あるんでしょう!?」
A:「はい・・子宮あります・・」

先生:「だったらもっと力入れて!!頑張りなさい!!」
A:「はい!女だから子宮あるから頑張ります!!」

いや・・・もうレジ並んでて・・・とか言っても1回だけ、1回やってくれればもう電話切るからと言われて、仕方なくバックヤードでボソボソとセリフを喋る。
そしたら気持ちを込めてとか、声を張ってとかで結局6?7回はやらされた。
やっと満足したのか最後は呆気なく電話を切った。

その後すぐバイト辞めたから、Aがどうなったのかはわからないです。

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