火の玉の出る日本庭園

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

今年30になるおっさんが18、20位の時に体験した話。

当時、世間ではリングや呪怨なんかのホラーブームが落ち着き始めていた頃だったんだけど、相変わらず友人達の間では「本当にあった呪いのビデ○」が流行っていた。
新作がレンタルされる度に我が家に集まって鑑賞会。
その日も夜から鑑賞会をしようって話になったんだけど、コンビニで飲み物なんかを買おうとしてたらふと薄い本が目に入ってきたんだよね。

『北○道怨霊地図』
飲み物よりも先に手が伸びてて、皆が集まる前に読み始めた。
数ページめくるとそこには自分の住んでる地域があった。

「火の玉の出る日本庭園」

興奮した。
そりゃ大好きなオカルトが同じ地元にあるんですもの喜ばない訳はない。
しかもメッチャ家の近くやんけ!
でも、書いてあることはデタラメで、最近出来たばかりの公園がさも大昔からあるように書かれていて少し萎えた。

鑑賞会も終わり、午前2時。
友達に日本庭園の話をした。

俺:「ガチだったら怖いけど嘘臭いから行けそうじゃんWWW今から行こうぜWWW」

話はまとまった。

家から歩いて5分も無い所。
日本庭園の裏口があった。
あまりにも近所で、でも意外と通らない道。
いざ、探索!と言ったところで女の子の一人が急に「寒い寒い」と言い始めた。

いやいや、季節は夏休み。
いかに北○道と言えど暑いですよ、お嬢さん。
その異様な寒がりかたにメンズも他の女子もドン引き。
そんな中、二人の勇者(酔っ払い)が現れた。

バスケ部でイケメンのゆっさんと、ラマとヒヒを足して芸人のなすびで割った様な顔の私だ。

二人は裏口へ続く下り坂を颯爽と歩き、異界とこの世を繋ぐかの様な雰囲気の橋を渡って日本庭園へと入った。
池を囲む照明1つない庭園を一周するも何も無かった二人はぶつくさと文句を垂れながら皆の所へ戻ってきた。

「何もねぇじゃんかよ!ビビりすぎだろ!」

冒険を終えて皆は帰路に着いた。
数日後、寝ているとインターホンが鳴り、玄関で爺が誰かとゴニョゴニョ話しているのが聞こえた。
すぐに話は終わり出ていったようだった。

俺:「何さ、勧誘かい?」
爺:「いや、○日(日本庭園に行った日)の早朝に日本庭園の裏の橋で首吊りあったんだと。身元不明でなんか知らんかだとさ。」

暗がりで分からなかったけど知らないうちにその上を歩いていたって恐怖がここまで気味が悪いとは・・・。

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