死ぬのわかっとったんやな

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

怖くはないけど、不思議な話。

母の上に兄がいたんだが、5才の時に川で溺死したらしい。
その事をばぁちゃんに聞いたんだけど、その亡くなった伯父さんね、死んじゃう前に行ったこともないのに火葬場の絵を描いたり、ばぁちゃんにしきりに下駄を買ってくれって御願いしてたんだって。
で、ばぁちゃんが根負けして下駄買ってあげたらしい。

後日、伯父さんが夕方過ぎても帰って来ないから、皆で捜してたら、近くの川に買ったばかりの下駄が片方浮いてるのをばぁちゃんが見つけて、その近くで伯父さん死んじゃってたんだと。

ばぁちゃんが言うには、「あの子は自分が死ぬのわかっとったんやなぁ。やけん、見つけて貰うために、下駄買うてって我儘言うたんやろうなぁ」

あと、この伯父さん死んだあと何年か経って、ばぁちゃんに会いに来たらしいよ。
死んだ時は5才だったけど、会いに来た時には成長しててびっくりしたらしい。

でも、すぐに「あぁ、あの子やぁ。会いに来たんやなぁ」って分かったんだって。

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