儀式に俺らは呼ばれた

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

はあ・・・・・・聞いてくれ。

兄貴とオレは林業に携わっていて、よく業者からの依頼や、たまに個人の依頼が来て、山に木を切る為の書類と現地視察に行くのが主な業務。
というのも、俺ら兄弟で林業ってのは、親父がガンで亡くなって実家の家業をそのまま継いでいるだけだから、林業に対する何かがあるわけじゃなく、父が亡くなる前にあることをお願いされて現在この仕事を引き継いでいる。

親父:「○○(建設業)の資材置場の端に林道があるだろ。彼処の奥の集落の依頼は最優先に頼む」
兄貴:「依頼ってどんな依頼?」
親父:「お願いされた木を言うとおりの日に切って渡せばイイ」

たったこれだけだったが、俺はなんか面白そう!って少し思った。
コレ言うとバレるかもだけど、『えんぶり』という春を告げる祭りがこの地域ではあり、この『えんぶり』が始まるとその依頼が来ると言われていた。

ある日の朝9時に老夫婦がうちの事務所に来て、「お父さんから聞いてるべぇ?あれ頼みに来たすけ、ついて来てけろ」と。

兄貴と俺だけしか行くなと親父に言われていたので、事務員に後は任せ二人でその老夫婦に着いて行き、○○の資材置場の端の林道を通った・・・・林道自体知ってはいたが一度も行ったことがなくなんか新鮮だった。

入って30分経たない位で、杉林から広葉樹の広がるこれぞ山!って感じの所に着いた。

老夫婦:「この木をこのぶっつ切って持ってきてけろ」
兄貴:「何時頃伺えばいいでしょう?」

老夫婦:「いや、おらんどここさ迎えさくるから、それまでに切っておいてけろ」

そう言われ、大きなブナの木の枝を言われた数切って待っていた。

兄貴が「この木でけーな」って一服しながらドアを開け、そのブナの木に向って行ったので、俺も暇だから着いて行った。
木の根っこ部分い小さい祠があって、祠ってこの木って御神木かなんか?と思った。

兄貴:「何に使うんだろうな。普通の木ではないことだけはわかるが、なんか嫌だな」
俺:「あの祠根っこがめり込んでいて、最近のものじゃないよなあ」

2時間後、老夫婦がついて来いと言われ向った。
その木がある更に奥の方に向って1時間ちょっと進んだ所に、10~15ぐらい家がある集落についた。

入ってすぐに思ったのは、なんでこんな所にキリストチックな石像が沢山置いてあるんだ?と思った。
「じゃあここに居て」と言われ、集会所的な場所で待機していたら、住民がきて(13~17人)その老夫婦が俺らを親父の子供たちだと説明していた。

老夫婦:「じゃあ始めるから行きましょう」

着いて行く他なかった。
隣にミニチュアの廃校みたいな作りの建物があって、そこに向かう。
一番広い部屋の奥に皆向かい、そこには大きな井戸とは違う少し大きく深い穴があった。

すまんコレ以上は言えない。
言えるのは、隠れキリシタンと日本の古来の歪んだ風習が混ざった土着信仰?の儀式に俺らは呼ばれたって事。

あいつらどうかしてる。
どうかしてるが、あいつらのお陰で会社は絶対に潰れない。

この理由も言えない。
テレビや都市伝説じみたの話が本当にあるんだぜこの世の中には。

はぁ・・・・・・。

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