人間自分が大事

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

私には三歳年上の自他ともに認めるシスコンの兄がいます。
両親が早くに亡くなり祖母に育てられたせいか、やたら私に対して責任を感じているようで、私は兄として普通に接していましたが、彼氏との電話はとりづがない、誕生日やらホワイトデーの贈り物は豪華、しかも年々それらがエスカレート気味で正直暑苦しさを感じていました。

うっとうしいわ!と思いつつもお互い二人しかいない兄妹。
仲良くやっていこうとしたある日阪神淡路大震災が起こりました。

家は大阪なので深刻な被害は受けませんでしたが、それでも棚が倒れて、壁が壊れてと被害を受けました。

地震が早朝だったこともあり、起こされた祖母、兄、私の三人はとりあえずリビングにあつまりTV見ながら対策みたいなことを話していました。

とりあえず登校の準備でもするかと皆思い思いに動き出したら、余震が起こりました。

一瞬パニックになりましたが、祖母が「あんたらテーブルの下にかくれ!」という声が聞こえ、隠れなきゃとテーブルの下に潜ろうとする私に衝撃が。

いきなり肩を掴まれたかと思うと、半ば潜りこんだテーブルから引きづり出され、代わりに兄がテーブルの下へ潜り込んでいました。

私は地震のショックと、兄の行動に茫然自失。

余震が収まり祖母(別室に避難していた)が様子を見に来ると「あんた(私)倒れてどないしたん?怪我したんか?」と聞いてきます。

私はもう「テーブルに入ったらお兄ちゃんが、引っ張って、外出された」とたどたどしく説明。

祖母はすぐさま激昂。

祖母:「あんた長男の癖に妹になんてことを!」
祖母:「恥ずかしくないんか!」

そう言うとテーブルに入ったままの兄を引きづりだし説教。

祖母の怒鳴り声で一心地ついた私は気を取り直し、怒鳴られまくる兄をしり目に余震被害の確認にまわりましたが、もしあれが倒壊するような余震だったら・・・と今さらながらに恐怖を覚えます。

その後兄とは何事もなかったかのように接していましたが、祖母他界を気に私は就職をかねて上京、今に至ります。

祖母の遺産も放棄し、悠々自適に一人暮らしをしていますが、兄とは二度と一緒に暮らしたくないと思いました。

上京してから頻繁に兄からの「帰ってけえへんの?」コールはありますが、どんなに言葉や態度や贈り物(誕生日にWii送ってきたりしました)されようとも、いまだにあの肩を掴まれた手の強さや引きづりだした後の無言の兄が怖くてたまりません。

いまさら兄を責める気はないのですが、私にとってあれは軽いトラウマです。
重度のシスコンでも、普段どんなに優しくとも、いざとなったら人間自分が大事なんだと実感させられた出来事でした。

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