殺し方はとてつもなく残忍

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

仕事の関係で朝五時には家を出る。

家族を養うとはいえきつい。

ある日いつものように少し離れた駅まで歩いていると、白いワンピの女が犬の散歩をしていた。
彼女は美人さんだったが、驚くほどに無表情。

朝から怖いものを見せ付けられた感じ。
次の日もその次の日も彼女を見かけた。

ただ不思議なのは連れてる犬が違うことだった。

ウチも犬を飼ってるが、俺自身は詳しくないので犬の種類は知らんが・・・。
さらに目を引いたのが、犬の頭に赤い×(ばってん)が書いてあること。

マジックで書いたのか、荒々しく掠れ掠れな感じの。
しかしある日を境に見なくなった。

少し寂しく感じた・・・というのも、私自身彼女に魅了されてたからだろう。

なんとも恥ずかしい話である。

私は最寄の駅近くの飲み屋によく行くのだが、そのことを店主に話した。
すると店主は顔を強張らせて次のようなことを教えてくれた。

・どうやらその女は犬を十数匹殺して、今は警察のお世話になっているらしい。

・犯行を行うのは朝6時頃で、被害が多かったのがこの地域。(多分これにより、私の見かけた女と一致したと思ったのだろう)

・障害を持っており、犬のある特定の鳴き声を聞くことで異常行動を起こす。

・反面、犯行は計画的。犬の餌に薬を混ぜ、ぐったりさせてから連れ出す。

・殺し方はとてつもなく残忍。
ゴミ袋にくるみ、その上からあらかじめ付けた印目掛けてノミでめった刺し。

いっきに酔いが醒めたが、俄かに信じられなかった。

あまりにギャップがありすぎるし、多分作り話だろうと思った(店主も聞いた話と言ってたし)

そんなことも忘れた頃、いつものように朝早く家を出ると笑顔の女の人がいた。

「忘れ物を取りに来ました」

突然言い放つと私の制止も構わず、玄関近くの植木鉢をごそごそ何かを探していた。

捜索が終わったのか、急に踵を返し歩いていった。

少し離れたくらいで、パッと振り返り「ありがとうございました。また来ます。」

無表情だった。
紛れも無くあの女だ。

手に赤いサインペンを持っている。
現在は遠くに住む親戚に犬を預けている。

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