感電自殺という死に方

カテゴリー「都市伝説」

某音大にはおかしな部屋がある。

その部屋のコンセントは全てテープで塞がれて使用できなくなっており、ドアには覗き窓が取り付けられていて外から室内の様子が確認できるようになっている。
元々は楽器の練習室であったが、現在では使用する者は居なくなり、万年空き部屋となっている。
全てのコンセントが塞がれたり、ドアに覗き窓が付けられたのには、ある悲しい事件が関係している。

部屋が練習室として使用されていた頃の話である。
事件が起こった日、件の部屋では女子生徒によるバイオリン練習が行われていた。
部屋の近くで別の生徒に指導をしていた先生が音色の違和感に気が付いた。

音大なのでバイオリンの演奏を聞くのは珍しいことではないが、演奏時間が妙に長く、音色が一度も途切れずに聞こえてくるのである。

先生は異常な音色が気に掛かり、ドアを開けて室内を覗いて見たところ、思わず腰を抜かした。
体中に電気コードを巻きつけ、感電死したと思われる女子生徒が床に転がっていたのである。
しかも、手にはバイオリンが握られている。

女子生徒はイジメに遭っていたらしく、それを苦に自殺を図ったらしい。
詳細な方法は分からないが感電自殺という死に方であった。

自殺を決行する当日、女子生徒はその部屋でバイオリンの演奏をして、その後自殺を図ったというのだ。

不思議なのは既に彼女が亡くなっていたはずの時間に、その部屋からはバイオリンの音色が聞こえていたことである。
不可思議な事件は瞬く間に学校中に広がって、大好きなバイオリンで自分の死を知らせていたのではないかと生徒達は噂した。

事件後、部屋のコンセントはテープで覆われて使用ができなくなり、中の様子を確認できるようドアには覗き窓が取り付けられた。
部屋は使用禁止になった訳ではないが、彼女の幽霊が出るという噂が立ったことで、現在まで使用する者は居なくなった。

学校側がコンセントを塞いだ理由については明らかにされていないが、生徒達の噂ではコンセント穴からバイオリンの音が聞こえてくるから塞いだという話である。

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