死体と二人

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

神戸の六甲山は夜景がきれいだが、自殺の名所でもある。
若かりしころ、夜景を見に行って、そこに靴と首吊りの縄が木にぶらさがってたのを見てしまった。

缶コーヒーの容器にそこらへんで摘んできたようなお花がポツンと。
こんなところでクビ吊らないでくれ・・・。

首吊りで思い出したが、俺が青年団にいた頃、近くの山で若い女が縄を持って登って行ったと警察に連絡があったそうだ。
それで、地元の消防、警察、青年団やらが山に捜しに行くことになった。

夕方になりかけていたので、二人一組となって2時間で見つけられない場合は翌日に持ち越しという予定だった。

俺と連れは登山道から登っていった。
まさか見つけるはずはないと思っていたので、バカ話をしながら気楽に登山を楽しんでいた。

途中、大きな岩があり其処から獣道にはいっていった。

1時間くらい歩いていたかな?

日も段々と傾いてきて、そろそろ2時間か~って思ってた時に目の前の木にサンドバックが吊るしてあった・・・。

いや、サンドバックじゃなかった・・・。
人が首をつっていた。

俺たちは腰が抜けそうになった。
しかし、二人と言う心強さもあって近くまでいってみた。

首吊り死体は俺たちに後ろを向いていて、性別がよくわからなかった。
俺たちは連絡のあった女かどうか確かめる為に死体の前に行っく。

俺は葬式以外に死体っていうモノを始めてみたが、首吊り死体っていうのは、とにかく醜い顔だった。

とにかく、連絡取らなきゃいかんと思って俺たちはトランシーバーに話かけたが、電波が悪くガーガーと音がするだけだった。

日も段々と暗くなるし、俺たちは泣きそうになってきた。
そこで、一人が登山道まで出て誰かを捜しに行くことになった。
はっきりいって、ここに残っておくことだけは勘弁してほしかったが、ジャンケンに負けた・・・。

連れは俺を哀れそうに見ながらも来た道を引き返して行った。
俺は死体と二人?きりになった。

このシチュエーションすごいでしょ・・・。
暗くなってきた山の中で死体と二人。

なるべく死体を見ないようにしてたんだが、時間がたつにつれ怖さが薄らいできた。
で、もう一度死体を見てやろうと振り向いたら、後ろを向いてた死体がこっちをみてた!

目が合った!
俺はウワ~~て本気で悲鳴をあげたよ。
だって、風もないのに死体が動いてたんだからね。
俺はひたすら連れが帰って来ることを願った。

時間にしたら30分ぐらいだった。
遠くから「オーイ」って声があった。
俺は見境なく「オーイオーイオーイ」て言ったね。
もう後で笑われてもいいから、とにかく誰かに来てほしいと思った。

そしたら、いきなりバサーーーー!って音がした。

俺はギャーって言ったよ。
で、振り向いたら首つってた枝が折れてた。

死体はグニャっとなって俺に持たれかかってきた。

『だめだ・・・もう死ぬ』と思ったときに、ライトが照らされた。
やっとみんなが駆けつけてきてくれたんだ。

俺は情けなかったが生きてるものに触りたかったので連れを抱きしめた。
すこし泣いてたかもしれない。
んで、色々処理をした後山を降りた。

降りてから連れが言った。
皆を連れて俺のとこに戻ってたときに「オーイオーイオーイ」って女の声がしたって・・・。
俺はお前が「オーイ」って遠くから言ってくれたので「オーイオーイオーイ」て必死に返したんだが・・・って言うと俺はオーイなんて言ってないって言われた。

二人はそのまま固まってました。

以上です。
10年くらい前の話です。

その連れとはいまだにその話になりますが、今じゃ俺の情けない顔が笑い話なってます。

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