※この体験談は体験談投稿フォームよりいただきました鈍色蝶様からの投稿です。
これはその昔、とある山の中であったお話です。
ある時、一人の猟師が獲物を仕留めようと、鉄砲を手に茂みの陰に隠れていたそうです。
すると 猟師の目の前に、一匹の虫がちょこちょこと歩いてきたそうです。
すると 猟師の目の前に、今度は一匹の蛙が飛び出してきて、その虫を一口で食べてしまったそうです。
すると 猟師の目の前に、今度は一匹の蛇が這い出てきて、その蛙を頭から飲み込んでしまったそうです。
すると 猟師の目の前に、今度は一羽の雉が舞い降りてきて、その蛇を捕らえると啄んでしまったそうです。
それを見た猟師は、
「おっ、獲物だ!」
と喜んで鉄砲を構え、その雉を撃とうとしましたが
「・・・待てよ?虫を蛙が食べ、蛙を蛇が食べ、蛇を雉が食べ、雉を俺が撃つ。そして、雉を撃った俺を・・・!?」
という考えがふと頭をよぎったそうです。
その瞬間、猟師は背後に凄まじい悪寒を感じて振り返ると、そこには一ツ目の大入道が立っていたそうです。
咄嗟に、猟師が大入道めがけて鉄砲をぶっ放すと、大入道は
「ええしあん、ええしあん。」(ええ思案=良い考えだ、の意)
と呟きながらニタァと笑うと、スーーーッと消えてしまったそうです・・・
猟師は、大入道が跡形もなく消え去ったのを見届けるや否や、脇目も振らずに大急ぎで山を下りた、との事です・・・・・・