※この体験談は体験談投稿フォームよりいただきました鈍色蝶様からの投稿です。
中学2年生のN美は、知り合いとの待ち合わせ場所に行く途中、女子中高生に大人気のアパレルショップ・Kの前を通った。
そのショーウィンドウには、1体のマネキンが飾られていた。着ているのは、シンプルだけど品のあるワンピース。
それを見て、N美は思わず呟いた。
「わぁ、すてき。」
N美はその服を試着してみたかったが、マネキンの足元には小さなカードが添えられていて、カードには『 けっして着てはいけません 』と書かれていた。
N美は諦めて店をあとにした。
その時、豪華な身なりをした女の子とすれ違った。
その子はショーウィンドウを覗いたあと、迷うことなくそのショップへ入っていった。
翌日、N美はまたショップのショーウィンドウを見に来た。
すると昨日のマネキンがガラリと変わっていた。
豪華な雰囲気になっていたし、マネキンも違う顔になっていた。
N美は「毎日マネキンが変わっていて楽しい。」と思ったものの、同時にそのマネキンをどこかで見たような気もした。
その翌日、親友のT恵を誘って、二人でショップのショーウィンドウを見に来た。
その日のマネキンは、昨日とはうって変わってボーイッシュなコーディネイトだった。
T恵がうっとりしながら言った。
「あの服、試着してみたいな。」
N美は、「でも『 けっして着てはいけません 』って書いてあるよ。」と言ったものの、T恵は耳を貸さず、ショップへスキップするように入っていった。
N美もすぐにあとを追ったが「一人しか入れません。」と店員に追い出されてしまった。
N美はT恵が出てくるのを外で待っていたが、ショップのドアは閉ざされたまま。ドアを叩いてみるも反応は無し。
N美はT恵のスマホにメールしてみた。
すると、すぐに返信が来た。
「明日、顔見せるから。」
更に翌日、N美はT恵と連絡が取れなかったので、一人でショップへもう一度来てみた。
すると、ショーウィンドウには何故かT恵そっくりのマネキンが飾られていた。
マネキンの足元に添えられている小さなカードには、T恵の字で『 けっして “来” てはいけません 』と書かれていた・・・。