※この体験談は体験談投稿フォームよりいただきました鈍色蝶様からの投稿です。
サッカー部マネージャーの真央は、今年のバレンタインに、憧れの先輩へ手作りチョコをプレゼントしようと一大決心!
「みんなも先輩にあげるんだから、フツーのチョコじゃ駄目だよね!」
真央が、そう意気込みながら街を歩いていると、『 美味しくてやめられないチョコあります 』という、変わった看板を掲げたお店を見つけた。
店主に看板の意味を尋ねてみると、「チョコに入れると、美味しくて食べるのがやめられなくなる “秘密の薬” があるのですよ。」と言うのだ。
真央は、先輩用のチョコに使ってみようと、思い切ってその薬を売ってもらう事にした。
バレンタイン前日。
調理中のチョコに、真央は “秘密の薬” を一滴垂らしてみた。
チョコをちょっとだけ味見してみると、ビックリするぐらい美味しかった。
「これなら、きっと先輩も喜んで食べてくれるわ♪」
次の日。
真央は、はりきって手作りチョコを先輩へ渡した。
「今度、味の感想聞かせてくださいね、先輩っ♪」
そう伝えると、先輩は笑って「いいよ!」と言ってくれたのだった。
しかし、先輩から感想を聞く事は出来なかった。
何故なら、チョコを渡した翌日に、先輩は内臓破裂で死亡してしまったからだ。
死因は、先輩がバレンタインに大勢の女の子たちから渡された大量のチョコ。
どうやら、胃袋が破裂するまで取り憑かれたようにチョコを食べ続けたらしいのだ。
その話を聞いた真央は、イヤな予感がした。
ひょっとしたら、あの薬のせいかも知れない・・・。
そう思った真央は、慌ててあのお店に駆けこんだ。
先輩が死んだのは、ここで買った薬が原因ではないかと問い詰めると、店主はニコニコしながらこう言った。
「美味しくて、死ぬまで食べるのがやめられなかったのですよ。・・・効果あったでしょう? “秘密の薬” の、ね。」
飄々とした店主の態度に、真央は怒って「警察を呼ぶわよ!」と強く責めようとしたその時、急に猛烈な空腹感が真央を襲った。
その瞬間、真央はハッと思い出した。
自分も、味見で “あのチョコ” を口にしてしまっていた事を・・・・・・。