老いた野良猫

カテゴリー「怨念・呪い」

通勤で通る小さな公園に毎朝、老いた野良猫(三毛)がいた。
俺は必ずポケットに煮干を入れて通勤するようになった。
毎朝煮干あげて、頭を撫でてから通勤した。

ある朝、冷たくなってるそいつを見つけた。
そこいらに埋めて犬とかに掘り返されても可哀想だから、会社に電話して半休をもらい、電車で4駅の俺のじいさんがやってる寺に運んだ。

あとはじいさんがそいつを骨にし、無縁仏の墓に入れてくれた。
次の日、通勤でそいつのいた公園を通り、あああいつはもういないのか・・・と思いながらも、いつもあいつのいたベンチのしたにポケットの煮干を置いた。
翌朝も、その翌朝も煮干を置いた。

不思議なことに、毎日置いた煮干が無くなることに気付いた。
他の野良猫が食べに来てるんだな、と思っていた。

ある日、急な残業で退社が23時をまわってしまった。
真っ暗なあの公園を通ると・・・あのベンチにあいつ(三毛)がいた。
ベンチのうえでちょこんと座り、後ろ足を伸ばして毛繕いしていた。

まさか?と思い、見つめているとそいつはベンチの下にいき、朝俺が置いた煮干を旨そうに食べた。
そしてまたベンチに登り、前足で顔を洗う。
近寄ろうとしたとき、俺の方を見たそいつはビクッと動きを止め、なんとすうっと透明になって消えた。

呆然とベンチの下を覗いたりしたがいない。
あの鼻の横に鼻くそみたいな黒い模様のある三毛を間違うことは無いと思う。
俺が思うに猫という気ままな生き物は、死んだ後も気ままに現世や天国を行き来しているんじゃないかと。
じいさんが言ってたがちゃんと経をあげて弔ってやったから、悪い方には行ってないだろうよ、とのこと。

いい方に行ったあいつは、俺の置いた煮干を食いにたまにこっちに来てるのかも。
今でも毎朝、煮干を置いてるが、夜に見に行くのは止めておいてやってる。
猫は自由だからな。

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