文化祭の日、ハイになって張り切りすぎて熱射病もどきになってしまった。
担架で保健室に運び込まれ、治療をしてもらったが、あまりのダルさに水も喉を通らず、「ああ、オレ死ぬんだー」と思った。
勿論そんな事はなく、体調は徐々に回復した。
しかし、ベッドから身を起こせるようになった頃には、文化祭は終わっていて、すでにテントなどの片付けが始まっていた。
悔しさと、保健室に一人っきりということもあって、女子ベッドの方にダイブ!
女子用のベッドは男子用と違って日の当たるところにあり、夏場になるとタオルケットが敷いてあって、明らかに男子用より豪華で前から寝てみたいと思っていた。(半分スケベ心)
1時間ほどゴロゴロしただろうか・・・。
手枕をしていたオレの手に何か短い毛が触れた。
自分の髪とは違い、結構硬くてうねってる。
ま、まさか女子の陰毛か!?と飛び起きてみてみると、枕のあたりに5センチほどの毛が散らばっていた。
何じゃこりゃ~とよく見てみると、短い毛ではなく、長いうねうねの毛がブチブチ切れた物の様だ。(たまに生えるよね?タンポポの帯化したような毛)
ちょっとがっかりしたが、次の瞬間「最初はこんな物の無かった」と、一瞬で鳥肌がザーッと立った。
まさか枕の下にも・・・とビビリながらそっと持ち上げてみると・・・ビンゴ!
長い太い毛が10本ほど、枕の下に落ちていた。
慌ててベッドから飛び降りて逃げ出すオレ。
しかし上履きを履いて逃げ出そうとした瞬間、左足の太股に激痛が走って、思わずしゃがんでしまった。
目の端に見えるベッドの下。
怖すぎてそっちに目をやることが出来ない・・・が、明らかに肌色の物がチラチラ見えている。
走れないのでゆっくりゆっくり立ち上がり、ベッドに背を向けないようにドアまで行き、震える手で鍵を開けて廊下に出た瞬間、保健室のおばちゃんが立っていた。
呂律の回らぬ口でさっきの事を説明しようとするも、また足の痛みで蹲ってしまった。
あんまり痛いので、おばちゃんに見て貰おうと思ったが、保健室には入りたくない。
恥ずかしいのをこらえて廊下で見てもらうことにした。
ズボンを膝まで下ろすと、太股に縦に15センチほどの蚯蚓腫れが出来ている。
「蚯蚓腫れくらいで大げさな~」と呆れられたが、「ん?」とおばちゃんが顔を近づけてきた。
なんか普通のよりも黒っぽい。
おばちゃんの勧めで学校の近くの病院に行ってみた。
とりあえず切開して出すことになったが、さっきの事もあるのでいやな予感ビンビン。
ピンセットで先生が引っ張り出したものは、やっぱりあれだった。
太い髪の毛。
ちなみに今まで保健室には怖い噂というものは無かった。
この前新築したばっかりだから、人が死んだって事もないだろうし・・・。
今の所、オレは無事です。