ヘルメットにボルトが直撃

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

某所で建築関係の仕事をしている。
とある工場でプラントの監理で働いている時の話である。

その工場の建築監督官の中にエンマと渾名(あだな)される男が居た。
いつもメモ帳を持ち歩き(閻魔帳:えんまちょう、といわれていた)、工事の粗探しばかりして、しかもタイミングの切り出しがいつも悪く、工事業者はいつも泣いていた。

あるとき、事故が起きた。

彼のヘルメットにボルトが直撃して即死したのだ。
ちょうど閻魔帳に何か書き込んでいたときらしく、閻魔帳を握り締めていた。

不思議なことに彼が亡くなった場所付近には無くなっているボルト等は無く、どこの責任範囲かが不明であったが、とりあえず一月ほど工事が中止となった。

その中止の間にまた別の訃報を聞いた。

ちょうど彼が亡くなったその日に(時刻もほぼ同時期に)彼があまりにも無理な注文を言い過ぎた所為でノイローゼとなり、会社から解雇されていた男が自殺していた。

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