実家の山村へ里帰りした時のことだ。
夜、久しぶりに川へ鰻(うなぎ)釣りに行こうとすると、祖父に注意を受けた。
祖父:「この時期の川はスッポンが出るかもしれんから気を付けろ」
私:「スッポンかぁ、鰻がダメならそっちを食べても良いかな」
などと考えて、さして気にもせずに出かけたのだが、いざお目当ての川岸に着いたところ、何やら水際で蠢く小さな影があった。
ライトを向けてみると、赤黒い幼児みたいな生き物が二匹、何かを探しているような調子で浅瀬の石をひっくり返している。
こちらに気が付いたのか、二匹は顔を上げると奇声を上げた。
・・・慌てて逃げ帰った。
状況を察した祖父が「だから気を付けろと言ったろうが!!」と、したり顔で言うのに、「アレはスッポンじゃなくてどう見ても河童だったよ!?」と文句を返していると、祖母が苦笑しながら仲裁をしてくれた。
祖母:「ここいらでスッポンってのは、普通に河童のことなんだよ。正しくはアカスッポンって言うんだけど、爺ちゃん達は皆スッポンとだけ呼ぶの」
私:「スッポンとカッパじゃ、いくら何でもえらい違いだよな」
私はぷりぷりと怒りながら、そうボヤいていた。
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