アメリカで聞いた話。
知り合いの猟師に連れられて、山へ狩りに出かけた時のことだ。
深い森の中で、生き物の内臓だけを見つけたのだという。
ビクビクと脈打っているところを見ると、剥き出しの状態でも生きているらしい。
猟師はこれを見つけるや否や、油を掛けてさっさと焼いてしまった。
これは一体何なんだと尋ねると、「スティキンの内臓だ」と吐き捨てるように言う。
スティキンと呼ばれるこの怪物は、インディアンに古くから伝わる森の魔物らしい。
こいつは人を見つけると、襲い掛かって殺してしまう。
そして自分の内臓を吐き出すと、殺した人間の内臓と入れ替えて、その人物に化けてしまうのだそうだ。
そうやって部族の中に入り込み、内部から一人ずつ食べていってしまうのだと。
だから、こういった生きた臓物を見つけると、すぐさま焼いてしまう。
内臓を焼かれると、本体のスティキンも死ぬからだという。
「これ以外の手段じゃ、呪術師の拵える特別な鏃でないと殺せないからな。内臓があるってことは、誰かが襲われたってことかもしれないが・・・。まぁ、本体に逢わずして退治できたのは、運が良かった」
猟師は苦い顔をしながら、そう言っていたそうだ。
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