警察は父よりは好き

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

『累犯障害者』という本。
立ち読みした1章だけですごい

レッサーパンダ事件の犯人・山口誠の家庭。

父が知的障害。
でも軽いので、誠が逮捕されるまで公式には気づかれず、60歳くらいになって初めて認定。
当然保険や福祉の手助けは一切なかった。
パチンコ三昧で、子どもにはすさまじい虐待を加えている。
母は子どもが幼いうちに病死。

誠は父よりも重い知的障害で、中卒後は養護学校に通うが、そこでもひどくいじめられ、その後の就職先でも前歯を全部折られるなどして、その後は放浪しホームレス同然に・・・。
連れ戻されても父が嫌なあまりすぐに脱走。
窃盗などの軽い罪はそれまでにもたくさん起こしていたが、警察に見つかっても全く逃げない。
警察は父よりは好きだから。

なぜ被害者にナイフを向けたのかと聞かれて、「仲よくなりたかったから」と大マジメに答えている。
常人には理解できないが、どうも本音らしく、そうとしか答えない。(報道で「自分のものにしたかったと供述」などとあるが、本人はそうは言っていない)
基本的に人とまともに会話できないので、自分に有利なこともほとんど言えない。

そして妹がすさまじい。
妹だけは知的障害ではないらしいが、母が死んで以降、知的障害の父と兄をかかえて母代わりをつとめ、経済的に当然高校には行けず、中卒後に働きまくって家庭を支え、無理がたたって癌を発病。
それでも働き続ける。

公的な福祉サービスを家族誰もがそもそも知らないので、役所の手助けが何もない。
誠が逮捕されてはじめて明るみに出て、死期の近い妹を民間の福祉の人間が助け、「最後にせめて楽しい思いをさせたい」と、車イス+点滴など完備でTDLとかいろんなところに行かせてあげたりする。
妹は、この楽しさは被害者の犠牲の上に成り立っているんじゃないかと大いに悩みながらも、1年くらいまともな生活を送り、死去。

殺人犯をかばっちゃいけないけど、こんな環境でどう生きればいいんだろうな。

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