実体験ではなく、私の母の体験談。
私の母(60歳オーバー)は、地元のとある大手食品メーカーの工場で働いてました。
短大卒業から準社員として働いていて、産休だとか育休だとかでぽつぽつお休みをいただきつつ、40年勤め上げたことになる。
そんで、去年やっと定年退職。
お疲れ様会も兼ねて、ゴールデンウィークに温泉旅行に連れてってあげた。
道中、思い出話やら会社での苦労話やらいろいろ話してくれたんだけど、帰りしなに、車内で突然ぽつりぽつりと『不思議な話』をしてくれました。
今はもう取り壊されて新しい設備になっちゃったらしいんだけど、古い工場設備時代のこと。
当時母は調味という部門で働いていた。(40代のころ)
その工場はスープとか色々作ってたんだけど、でかい機械で製造するとき砂糖とか大量に使うものは、30kgくらいバカスカ突っ込むらしいけど、エキスとか色素とかはそうもいかないから、何人かの人で袋に小計りしておくんだって。
それが調味係の仕事。
その仕事をするのが調味室といって、他の製造現場からはちょっと隔離された奥まったところにあったらしい。
でかい工場だったから製造している品数も多くて、その分資材の数もたくさんあった。
調味室は結構広い部屋だったけど、まわりをぐるっと資材を置く棚が囲んでいて、まぁとりあえずごちゃごちゃした感じだったんだって。
急な追加製造が入ったとか、計った調味袋をうっかりぶちまけたとか、そんな理由で残業することもあって、ある日母は調味室で一人で残ってたらしい。
一人で黙々と調味を計っていると、「おつかれさまでーす」という声が。
調味室の隣は分析室という部屋で、製造された食品の分析値を計る部門だったんだって。
あ、そこの若い子があがるんだな~と思って、仕事をしながら「はいよー」と母も返事を返した。
すると、パチンと調味室の電気が消えた。
隣り合ってることもあって、分析室と調味室の電気のスイッチは一か所にまとまってたんだけど、特になんの注意書きもなかったから、慣れない人は間違えることも多かった。
「あー入ったばかりだから間違えたのね。こんな時にこんにゃろう(^ω^#)ビキビキ」
しかし母、ベタベタする資材を計ってるときだったからスイッチをつけられない。
「ちょっと!間違ってるよスイッチ!付けて付けてー!!」と入口に向かって叫ぶと、ドアからスッと白い作業服の袖が見えた。
資材棚の影に隠れて見えにくかったけど、異様に細長い腕だったらしい。
例の分析室の若い子は小柄だからそんな長い腕のわけがない。
他の分析室のひとたちにも、そんな体型のひといない。
「え、誰?」と思っていると、カチッと音がして、調味室の明かりがついた。
すると「おつかれさまでーす」と、さっきの繰り返し音声のような声がまた聞こえた。
違和感を覚えながら母、叫ぶ。
「ちょっと!今度は分析室の明かりついたまま!消して消して!」
すると・・・「カチカチカチカチカチカチ!」と、激しいスイッチの連打とともに、調味室と分析室の明かりが付いたり消えたり。
あまりの勢いに「なんか変なの出た!!(人間じゃない!)」と震え上がったそうな。
カチカチが終わったあと、両方の部屋は真っ暗に。
結局、その後すぐに残業の様子を見に来た製造課長さんに泣きついて、仕事全部押し付けて帰宅したらしい。
あとで課長さんから、「真っ暗な部屋で立ち尽くしている母のが異様で怖かった」と言われたそうだ。
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