あと数ヶ月で冬か、と考えてたら思い出したんで投下。
人が狂った瞬間を見たときの話。
高校二年の時、私のクラスで死人が出た。
女子で死因は一酸化炭素中毒・・・。
ストーブつけたまま換気せずいたからってのを担任が言ってた。
それからその子の葬儀にクラス全員で出ることになって行ったが、関わり少なかった人たちは淡々と焼香済ませて、仲良かった人たちは泣きながら棺桶の前で思い思いに言葉かけてた。
二人一組で進めていて、ついに私と死んだ子と一番仲が良かった女子の番になった。
その子は既に葬儀が始まる前からずっと俯いて泣いてたし、私もクラスの人達もちょっと身構えた。
が、”その子”はその時泣いてなかった。
嗚咽もなく語りかける口調で死んだ子との思い出を話していた。
正直大号泣して棺にすがり付くんじゃないかと思ってたから意外だったし、静かだったから何を言ってるのか全員に聞こえてた。
「幼稚園の時は」とか、「中学の修学旅行は~」とか・・・皆、辛いだろうな、と思ってそっとその子の顔を見ると・・・その子は笑ってた。
思い出を懐かしむような柔らかな感じじゃなく、口元は笑ってるんだけど目が死んでた。
真っ赤に泣き腫らした目で瞬きもせず棺の中だけを見て楽しげに語りかけてた。
その内容も段々と「○○!今年の修学旅行だけど、何着る?私は~」とか「進路だけどー、やっぱ×大行くの?」と、まるで教室でその子と話してるような口調で今後の事を話し出してたので私は危機を感じて参列者の方を振り返った。
参列者も異変に気づいてざわつき始め、その子の親が駆け寄ってきて「ほ、ほら、次の人待ってるから戻ろう」とその子の肩を掴んだ。
けどその子はまだ楽しげに話しかけてて「あ!○○明日日直じゃん!黒板掃除が」と言った所で親がその子の名前を叫んで無理矢理式場から連れ出していった。
その後、式場の空気は異様なまま葬儀は終わった。
親友だった子はすぐに精神病院に入院してたけど、春休みの間に「親の仕事の都合」で転校したらしく三年に上がった時には在籍してなかった。
去年同窓会があって行ってきたけど、その子は居なかったし誰も葬式の時の話はしなかった。
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