その家は火事にあったらしい

カテゴリー「不思議体験」

幼稚園の頃の体験なんだが、今でも鮮明に覚えている体験がある。
心霊現象なのか、自分がみた幻覚なのかはわからんが、確かに怖かったので書き込んでみる。

その日はいつものように両親と川の字になって寝ていたんだが、目を覚ますと見知った部屋じゃなくなってた。
赤と黒の二色で、どこまでも続いているような空間。
真っ黒な木々が立ち並び、何かコウモリのような黒い生き物が空を飛んでいた。
周りを見てみると、両脇に両親が寝ていて、頭の方には絵本や電気スタンドが置いてある。
寝る前となんら変わってはなかった。
そのときは不思議と、単に興味だけでまわりを見渡していた。
・・・で、正面を見てみると、人の首があった。

目。
鼻。
口。
額。
耳。
・・・至る所から血が流れていた。
血みどろの頭。

そんな頭が浮いている。
それが少しずつ近づいてくる。

頭が浮いているなんておかしい。
血みどろなんておかしい。

それがなんで自分に近づいてくるの?

理解出来ない事だらけで怖くて仕方が無かった。

だから両隣に眠っている両親を必死に起こそうとした。

揺する。
起きない。

叩く。
起きない。

殴る。
起きない。

蹴る。
起きない。

何をやっても起きなかった・・・。

そうこうしているうちに、その血まみれの頭は目の前までやってきて、その首は何かをブツブツ言っている気がした。

その首が怖くて後ずさると、カツンと手に何かが当たった。

電気スタンドだ。
それを見たとき、コレが救いだと思った。

『幽霊は明るいところには出てこない』

幼心にそんな事を思い、電気スタンドの電源を入れた!
付けた瞬間、思った通りにその首は消えた。

周りもいつも見ている部屋に戻っていた。

その直後に両親が同時に起きた。
その両親の顔を見たときに、両親の顔に少なからず痕があった。
自分が叩いたりした痕だった。
それを認識した瞬間、意識が飛んだ。

次に目が覚めると、両親が僕を看病していたところだった。
両親が心配そうに自分の顔を覗き込むが、その顔には確かに叩いた痕が残っていた。
熱を測ったところ、40度を超えていたらしい。
慌てふためきながら看病をしてくれる両親を見て、『もう怖いものはいなくなったんだ』と安心し、もう一度眠りについた。

目が覚めて即病院に行って検査をしたところ、腎盂炎(じんうえん)が判明。
そのまま即入院。
どれくらい入院していたか覚えていないが、少しずつ回復していた。

退院してから少しして、急遽引っ越しをした。
しかも隣町。
なんでこんな引っ越しをしたのか聞いたが、両親は何も言わなかった。

余談。

その家に小5の時に行ったのだが・・・無かった。
その場所には、お祓いの囲いのようなものがあった。
噂で聞いたのだが、その家は火事にあったらしい。
そこの家族がどうなったかはわからない。
現在、その場所は道路になっている。

親の傷跡から、夢ではなかったんだと思う。
何か幻覚でも見てたのだろうか?それとも幽霊を見たのか?
それが最初で最後の、身に覚えのある心霊体験だった。

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