橋の下は河川敷になっていた。
そこは長さ10キロメートルほどで、小中学校のマラソン大会のコースにも使われていたんだ。
小学校低学年の時、土手の上から河川敷を見てると、上空から落下傘を付けた物体が、ユックリと河川敷に落ちるのを目撃した。
近寄って見ると、それは鉛のようなモノでできた円筒形の物体だった。
そんなに大きなモノじゃなかった。
500㎜リットル缶ぐらいだったと思う。
誰かが実験でもしているのだろうか?
触ると何だか放射線に汚染されそうな気がして、離れた場所に移動してソレを見ていた。
しばらくすると、二人の男性が河川敷を歩いてきた。
落下物の前まで来ると、二人は話し始めた。
「予想以上に流されたな」
「ああ、風が強かったからな」
やはり何かの実験をしていたらしい。
男性の1人は、紺色の制服に黒いブーツを履き、胸にトランシーバーを着けていて、まさに自衛隊員を想像させた。
そしてもう1人は、赤いボールを鼻につけ、星の模様の入ったダブダブの服を着ていた。
サーカスのピエロそのものだった。
しかもピエロは片腕には買い物籠をぶら下げて、そこからは一本の大根が頭を出していた。
隊員とピエロは、落下物の落ちた位置にチョークで○印を付けると、落下物を回収してもときた方角へ去って行った。
隊員はまだしも、あのピエロ男はなんだったのだろう?
なぜ大根を持っていたのだろう?
今でもサッパリ分からない。