友達のK子は友達のH君にドライブに誘われた。
気乗りしないから断ったんだけど、あんまりしつこいから妹のAちゃんも一緒に連れて行くことにした。
H君はもちろん運転席で、K子とAちゃんは後ろの席に座った。
出発して十数分経ってからお寺の前にさしかかった。
もともとK子はH君の事をどうでもいいと思ってたし、Aちゃんも口数の多いほうじゃなかったから、車内はし~んとしてた。
お寺を完全に通過するとき、Aちゃんが震えてるのがわかった。
K子が「どうしたん?」と聞いてもAちゃんは答えず、ずっと震えていた。
K子はAちゃんに霊感があることが分かっていたので不安になり、「H君、Aの調子が悪いみたいやからもう家まで送ってくれん?」といった。
H君はチッて感じだったけど、しょうがないので引き返すことにした。
H君が煙草を取り出して火をつけ、窓を開けようとしたらAちゃんが叫んだ。
「開けんといて!!!」
K子とH君はびっくりした。
K子が「どうしたん?」と聞いても、「開けんといて!」「絶対開けたアカンで!!」と繰り返すばかり。
しかもすごい顔で怒るので、H君は渋々と煙草の火を消した。
それからずっと三人はだんまりで、K子の横でずっとAちゃんは震えていた。
家の前につくと、AちゃんはK子の腕を締め付けるように握り、車から飛び出し扉をバン!!と閉めた。
H君は何やねんみたいな顔でAちゃんを睨み付けて帰っていった。
K子がAちゃんに「どうしたん?H君可哀相やん」と言った。
するとAちゃんは、「あのな、途中にお寺あったやろ?あそこからな、変な人付いてきてんで。車の外にへばりついてずっとこっち見てた。目がギョロッとして髪の長い女の人。ずっと笑っとった。車ん中入りたくて、ずっと隙さがしててん。窓開けてたら入ってきとった。」と言った。
K子は「それでその人はどうなったん?」と聞いた。
「アタシらが車降りると同時にH君の車に入っていったわ。こっちに来んように、すぐドア閉めたった。お姉ちゃんもうあの人とは遊びなや。」と言った。
それからK子はH君と連絡を取らないようにしたそうです。