山岸凉子の短編『常世長鳴鳥(とこよのながなきどり)』
主人公は冴えない女子中学生。
病弱な障害者の姉がいる。
姉は生れつき足が悪い。
両親と祖母は姉を哀れみ、ちやほやする。
姉は美少女で、みんなに優しくされたもんだから気立てもいい。
主人公は健康な健常者だからと、ほったらかしにされまくる。
寝込んだ姉の枕元には、いつもお人形や黄色い方の桃缶があった。
お祭りの晴れ着は姉のお下がりで、「この子は色が黒いから似合わないねぇ・・・」と言われた。
小学生の時、遠足の前日に姉が発作を起こした。(喘息かもしれない)
両親と祖母がつきっきりで看病する。
主人公は、あたしのお弁当は!?と抗議するが、「お姉ちゃんが死んでもいいって言うの?」「お前は健康な身体という大きな財産があるのだよ」と叱られる。
遠足の弁当はメロンパン一個。
中学生になった主人公に、憧れの先輩(病院長の息子)が話しかける。
先輩:「君、よくお姉さんの付き添いでうちの病院に来てくれたよね」
(やったぁ☆あたしのこと覚えていてくれたんだ)
先輩:「今度お姉さん紹介してくれない?」
姉は「主人公ちゃんの中学って、私が通ってた病院のハンサムな息子さんがいるんでしょ。いいな主人公ちゃん」と言う。
ある夜、姉が川で溺死する。
主人公は姉の部屋に入り、遺された着物(足が悪いのを隠そうと、上等な着物を与えられていた)を制服の上から羽織って一人ファッションショー状態。
「これからはあたしが親孝行してあげる」
「公立の進学校から国立大に行くわ、勉強して奨学金もらうからお願い、商業高校に行けなんて言わないで」
「お姉ちゃんの医療費がいらなくなるでしょ?あたしに学費出して」
姉の握った手の中から、主人公の中学の制服のボタンが一つ見つかった。
乱暴に引きちぎったようで、ちぎれた糸がついている。
姉の部屋で姉の着物を羽織ってほくそ笑む主人公だが、その袖口にはボタンが一つ欠けている。
ちぎれた糸も見える。
姉が死んだのは、父の帰りが遅く母は用事で外出し、主人公も部活で遅くなる夜だった。
主人公は部活をこっそり抜け出し、姉を窓から連れ出す。
病院長の息子が姉と話したがっている、と嘘をついて川に連れ出し、溺死させたのが真相だった。
ボタンをなくしたことに気づかない主人公は、声を殺して笑っている。
「あたしはアマテラス、岩戸を開けてやっと外に出たのよ!」