これは、私が大学生の頃に体験した話。
怖くはありませんが、不思議な話です。
ありふれた「虫の知らせ」の話なのですが、私にとっては思い出です。
私は京都の大学に通っていました。
実家は隣県とはいえ、大学までは電車とバスを乗り継いで片道が四時間くらいかかるので、私は学生専用アパートの1階の部屋で一人暮らし。
葵祭ももうすぐというある日、深夜に窓をノックする音で目が覚めました。
見ると窓の外に、ばあばあちゃん(曾祖母。ばあちゃんばあちゃんの意味)が立っています。
窓に向かうと、「女の子が、カーテンも閉めんと寝て、ほんまに!」とばあばあちゃん。
え・・・カーテンは閉めたはず・・・というか一階だからあまり開けないのに・・・と思いつつ、「待って、玄関開けるから」と曾祖母に言い、玄関へ。
部屋に入ってもらい、祖母と話した。
曾祖母:「ひとりで来てん」
私:「え・・・こんな時間に?いつ着いたん?」
曾祖母:「さっき」
私:「嘘や・・・。こんな時間に電車ないわ。葵祭に来たん?」
曾祖母:「・・・カナに、会いにきてん」
私:「え・・・そう・・・なんや?」
しばらく話したあと、曾祖母は急に、「かっぱえびせん、買うてあげよか」と言い出しました。
「夜中やし、明日でええ」と言う私に、「今から行こ。コンビニやったら開いとるわ」と曾祖母。
そして、なぜか、歩いて3分以下の下鴨神社前のコンビニでなく、歩いて10分はかかる出町柳のコンビニまで行くことになりました。
ところが、橋を渡ればコンビニというとことで、わたしのサンダルのストラップが切れてしまいました。
曾祖母は「カナは、こっちに居って」と、一人でコンビニに向かいました。
橋を渡る曾祖母を見ながら、なぜか涙がとまりませんでした。
私:「ばあばあちゃん!行かんといて!!」
気がつくと、私はアパートで寝ていました。
私:「なんや・・・夢やん」
その日の夜、実家から曾祖母が亡くなったという電話を受けました。
ばあばあちゃんは、あっちへ行く前に私に会いに来たのだと思います。