6歳の時にコタツで寝てたら、のどを詰まらせ息が出来なくなった。
声も出せず手で床を叩いたけど、母親は洗い物をしてて気づかない。
そのまま意識を失って、気づくと家の前のブドウ畑の上にいる。
そのうち風船みたいにすうっと上に行き、家から離れていくので、なんだか悲しくなって泣き出した。
すると「坊やどうした」と、横から2、30代の男の感じがする、透明な塊に呼ばれた。
「家に帰れない」というと、その塊は「おじさんが連れて行ってやる」という。
気づくとコタツの中。
体に帰ってきたのか確かめようと、目の前にある幼児向けの本を手にとってみる。
鉛筆で文字をいくつか書いていると、母親が「文字が書けてる」と、泣いて喜んでいる。
実はこの日が、自分という記憶の始まりの日。
それまで大切にしていた宝物の場所、友達の名前、大好きだった先生が急に分からなくなったので、ちょっと怖かったらしい(母親談)。