ある田舎町のはずれにオンボロの一軒家があった。
その家の前にはみすぼらしい浮浪者がその周辺の雰囲気に馴染み生活していた。
彼はすべてを目撃していた。
ある夏の夜のこと、一人のお坊さんがそこのボロ屋を尋ねた。
お坊さん:「すみませんが旅の途中寝床に困ってしまい一晩宿をとらせてはくれませんか?」
家の主人は嫌々な口調で「あいにく家は狭いし汚いしね、人様を泊めてやる余裕なんかないんでぇ」と追い返そうとしたが坊さんが「礼ならいくらでもします」と言って胸元の札束をちらつかせた。
すると主人が打って変わったように「いやこれは失礼した!どうぞどうぞ!汚い家ですが遇しますぞ」と言って坊さんを家に入れた。
翌日から坊さんがその家から出てきた所を見た者はいない。
数日後、浮浪者がゴミを物色していると隣のボロ屋の庭から声が聞こえてきた。
隙間から覗くと庭で主人のその息子が生きた鯛を買ってきたらしく、その新鮮な身に包丁を入れるところであった。
なぜこんなボロ屋に住んでる奴があんなご馳走を?