死体と似ても似つかない顔

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

小学生の頃、仲間内で“レインジャー作戦”という遊びが流行った。

フェンスによじ登ってジャンプしたり、工事現場に忍び込んで警備員の目を掠めるとか、ちょっと危ない事をやってみるだけの他愛もない遊びなのだが、尻ごみすれば『女め!』と馬鹿にされるので結構真剣だった思いがある。

ある朝のこと。
通学班という近所の子供が連れ立って登校する。
俺達は、班長の六年生が「レインジャー作戦開始」と言うのを聞いて緊張した。
コンクリ製のドブ川に架かる細いパイプを渡って向こう側に行け、という作戦だ。
年長者は次々と成功したが、同級生のOはドブに転げ落ちてしまった。

大騒ぎなって近所の大人に助けを求めた。
新聞配達の兄ちゃんが飛び込んで助かったんだけど、Oが落ちた下に何か埋まっていた。

男の死体だった。
2週間前に行方不明になっていた工員だった。
警察は来るは、学校に“レインジャー作戦”がばれて怒られるは散々な目にあった。

もちろん死体を見たのは初めてだったがパンパンに膨れたおぞましい物だった・・・。
新聞で工員の写真も出たのだが、死体と似ても似つかない顔。

Oが言っていた言葉を今でも思い出す。

O:「ドブの中で見た死体は高木ブーだった」

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