当時保育園に通ってたんだけど、その保育園がちょっと車で入りにくいとこにあってさ、広い道で降ろされて歩いて行ってたんだ。
保育園までは細い一本道があってその脇に民家が並んでんだけど、その内の一件に古い木造の家があって、常に戸が開いてたんだ。
中は玄関の正面に和室って感じの家で、和室の戸も開いてて完全に家の中が見えてた。
最初おかしいと思ったけど、気にせず保育園に通ってた。
でも次の日見たら中に旦那さんと奥さんっぽい人いてさ、手降ったら笑顔で振り替えしてくれたんだ。
それから毎日その民家の人にあいさつするのが日課になってた。
中にいる人は日によって違くて、おじいちゃんだったりおばあちゃんだったりすることもあった。
でもみんな笑顔で手を振ってくれて、いい人たちだと子どもながらに思ってた。
でもある日、母親と一緒に歩いて帰る日があって、何気なくその民家見たらみんなが青くなって真顔でこっち見てた。
映画のアバターみたいに全身青くて、見たことない人もいて家族勢揃いって感じだった。
みんな無表情だから怖いと思いながらも手振ってあいさつしたんだけど、みんなこっちを見つめるだけで微動だにしないんだ。
あまりにも怖くなって母親に怖いって伝えたら母親も怖いって言ったから、それで満足してそのまま帰ったんだ。
次の日行ったらその家がありえないくらいボロボロになってた。
どう見ても人が住める状態じゃないし、扉も外れてて中も真っ暗でなにも見えなかった。
でも当時の俺は「引っ越したんだなー」ぐらいにしか思わなかった。
最近思い出して母親に聞いてみたらあの時俺が指差してた方向に誰もいなくて、最初からボロかったって聞いて怖くなって書き込んでみた。