結構前の話。
当時の彼と喧嘩して、話し合う為に静かなところがいいという事で、近くの山のふもと?山道の様な所へ車を停めました。
時間は0時ごろだったと思います。
ライトを消してしまうと真っ暗なのでエンジンもライトも点けっぱなしで話し合いしてました。
二人の話しは平行線で売り言葉に買い言葉。
「もう別れよう」と私が切り出すと彼も納得。
「話し続けても意味がないからもう帰ろう」ということになった時、フロントガラスのちょっと先に小さな灯り?が見えました。
私:「蛍?」
私:「こんな時期に?」(晩秋)
彼がライトを消してみると、目の前はその小さな灯りでいっぱいでした。
「なにこれ?」と少々怖くなりかけ、彼を見たら小さな声で何かをつぶやいていました。
「どうしたの?」と聞いても返事はなく、段々と顔が怖くなり声も大きくなっていきました。
私:「ちょっと!大丈夫?」
私の問いには答えず、彼はドアを開け外に出ようとするので、「止めなって!」と引き戻そうとすると、目の前の小さな点の灯りが動き出して、まるで車を包むかの様に見えました。
彼はその点の灯りの中に行こうとしながら「・・・俺を呼んでる」と無表情で言いました。
もう半泣きの私は彼を力ずくでひっぱり、身を乗り出しドアを閉め彼のほほを叩きました。
私:「しっかりしなさいよ!」
彼はその小さな点の灯りを眺め、ぶつぶつとつぶやいています。
もう怖くて怖くて仕方がなくて何度も彼をゆすったり叩いたり、声が枯れるほど騒ぎました。
数分経ったのでしょうか。
彼はふっと正気に戻り「・・・帰るぞ」と言い、すごいスピードでバックしました。
しばらくその点の灯りはまとわりつくように付いて来ましたが、山道から抜ける頃にはいなくなっていました。
街灯のある市街地まで来た時に彼は「なんだかわかんないんだけど、あの小さな灯りに呼ばれた気がしたんだ。」
私が「うん俺を呼んでるって言ってた」というと彼は「行かなきゃならないような気がしたんだけど、ふと正気に戻ったらものすごい恐怖感で、ここに居たらやばいと思ったんだ」
それから「あの小さな点の灯りがあっただろ?あれがなんていうか人なんだよな。すごく優しい灯りだと思ったんだ。でも、正気に戻った時な、その点の灯りの中に怖い顔の人が立ってるのが見えたんだ。」と。
私は怖くてそれ以来その山には近づけません。
彼とは数年後に別れました。
その山は東北にあります。
地元では有名?だとは思います。
遊歩道もあり、昼間行った時は何も感じませんでした。(あの数年前です。)
本当に小さな点のような灯りでした。
宮城県の仙台市です。
区の名前にも使われている山です。
あの当時、木を運ぶ足の太い馬を見れたりしたので、好んでよく行きました。