前に牛乳配達のバイトをしてたときの話。
他の地域では違うかもしれないけど、俺のとこでは朝3時に宅配センターに行って牛乳をもらい、6時までの間に原付で配達する。
新聞配達もやったことがあるので朝起きるのは大丈夫だったけど、配るエリアが広いし、家庭によって本数や種類が違うんで、始めた頃は覚えるのが大変だった。
それでも毎日やる契約だったから、1週間くらいでだいぶ慣れた。
季節は秋頃で、4時前くらいだったと思う。
ある家に牛乳を配ろうとしたら、通りの向かいの家の塀の上がぼうっと赤く光った。
何だろう?と思って見にいったら、ペットボトルが置いてあって、中でなんか黒いものがうず巻いてる。
そのときにはもう光ってなかったんで、瞬間的に何かの光が当たったのか、見間違いかと思った。
バイクに乗って次の配達先に行こうとしたら、今度は進行方向の200Mくらい先で、また一瞬だけぼうっと赤い光が見えた。
途中を配りながらそこまで行ってみたら、やっぱり光ったところにペットボトルが置いてあるんだよ。
銀行の駐車場の前の植え込みの中だった。
ここは前より明るかったんで中がよく見えて、白い紙と髪の毛の束と金属片のようなものがやっぱりゆっくり回ってる。
あたりを見回しても反射するような赤いライトはないし、車も通っていない。
不思議だなあ、と思いながら配達を続けると、そっから150Mくらい先でまた同じような感じでぼうっと赤く光るものがある。
ただし今度は一瞬じゃなくずっと光り続けてる。
そこはかなり年代がいっているようなボロい平屋で、門もなくて、玄関の真ん前にやっぱりペットボトルが置いてあったけど、中にライトが仕掛けられてるんじゃないかと思うくらい赤く光ってて、中のものが液体とともに回ってって、地面に光の影を落としてる。
中身は前のものと同じだったと思う。
変なことがあるもんだなあと思ったけど、仕事中なんですぐその場を離れた。
その後はペットボトルは一本も見なかった。
で、次の朝の配達時にはそれらのペットボトルはなくなっていた。
で、さらに次の日、3本目のペットボトルがあった家の玄関に『忌中』の札がはられてたんだよ。
まあそれだけの話で、何かの偶然だとは思うけどね。