子供の頃、近所の神社で一人でブランコに乗っていた。
夏休みの午後3時くらいで丁度誰もいなかった。
ブランコの後側には大きな木が植えてあって、ブランコの上はその木の枝で覆われていた。
ブランコをこいでいると一瞬強い風が吹いた。
その途端、上からザーッと雨のように滴が落ちてきた。
俺の腕や頭にも落ちてきたが、その水滴は水ではなくて変にネバネバした液体だった。
何か樹液でも落ちてきたのかと思ったが、ブランコの鉄柱や鎖にもその液体はいっぱいついていた。
なんだろうと見ていると、透明だった液体がだんだん白く粉をふくように盛り上がりだして、羽が生えてきて小さな蛾のようになり、一斉に飛んでいってしまった。
あれはなんだったのか、まったくわからない。