バンコクに行ったときのこと

カテゴリー「不思議体験」

バンコクに行ったときのことです。
カオサンロードという有名な安宿街から近い、8階建てくらいのショッピングセンターに行きました。
そのショッピングセンターは建築基準法違反ということで、取り壊しを待っているとのことでしたが、1?2階はまだ営業していました。

そのショッピングセンターは1階から一番上まですべて吹き抜けになっており、エレベータから全体を見渡せるつくりになっています。
吹き抜けの3階から上は暗かったですが、なぜかエレベータは動いていたので、興味本位から乗ってみました。
外は真昼で、まったく恐怖感などはありませんでした。

エレベータに乗ってとりあえず7階のボタンを押すと、ゴウンとという音とともに、上昇をはじめました。

3階を越えると、1階から見上げたときはわかりませんでしたが、上からはほとんど光が入らないことがわかりました。
吹き抜けの下のほうから光が入ってくるだけで、今いる階はほとんど何も見えないのです。

4,5,6階といくにつれ、より暗闇が深くなります。
外が南国の真昼だとは信じられないような暗さです。
乗ってみたことを非常に後悔しましたが、いまさら止められません。
そして、7階に到着し、ゆっくりとドアが開きました。

そこは、まったくのがらんとしたスペースでした。
窓側はすべて光がふさがれており、遠くは見ることもできません。
吹き抜けからの淡い光だけが頼りです。
多少の光があることを頼みに、少しエレベータから出てみました。
手でエレベータの挟まれ防止用の部分を抑えたままです。
しかし、ドアが閉まりはじめました。

なぜか、挟まれ防止用の部分を抑えていても、どんどんドアは閉まります。
もう体をいれる余裕もなかったので、エレベータは閉まってしまいました。

すぐに下りのボタンを押しましたが、なんとランプがつきません。
エレベータは無情にも1階に降りていってしまいました。

なんども下りボタンを押しますが、反応がありません。
あきらめて、回りを見渡しました。
少しは目が慣れたのか、遠くにエスカレータが見えます。
吹き抜けから離れるのはとても嫌でしたが、外国のことで助けを求めることもできず、降りるよりしょうがないと近づいていきました。

元々は婦人服売り場ででもあったのでしょうか。
近づくと、ハンカチらしきものや、マネキンの残骸のようなものも見えてきます。
なるべくマネキンには目をやらないようにしました。

エスカレータはもちろん止まっています。
乗り口に木が置いてありますが、乗り越えられる程度です。
ベルトにつかまり、金属の段をカツンカツンという音をたてながら降りていきました。
外は30度近くあるというのに、妙にすずしく感じます。

5階、4階と降りていき、多少明るさが増してきたことで足取りを早めました。
4階から3階のエスカレータに移るとき、視界の隅におかしなものが見えました。

空中にアーモンド型の白いものが2つ。
それが2体。
目・・・のようでした。
それ以上は見ていません。
脱兎のごとく駆け下りて、なんとか人のいるところに出ました。

今から思い直すと、作業員の人かも知れません。
でもそれなら服もきているでしょうし、だいいちタイの人はそんなに色黒ではありません。

何かの見間違いなのかもしれませんが、南国の真昼と真っ暗闇というミスマッチ、異国であることと言葉が通じないこと、上では動かないエレベータなど、非常な恐怖感を味わいました。

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