2年も帰って来てない

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

去年の今ごろの話。

越したばかりの安アパートの部屋で、夜中の2時ごろ、ビデオを見ながら寝転んでいた。
何気なく視線を上げると、テレビの右後ろ側、玄関横の流し台の空けっぱなしの窓から40歳ぐらいの女性がこっちを見ていた。

目が合って、わけがわからず思考停止していると、その人が窓越しに話し掛けてきた。

「あのー、こちら●●さんのお宅ですか?」

驚きがやや収まり、なんで窓から覗いてんだと思いながら「はァ」と返事をした。

女:「こちらにうちの子がお邪魔してますよね」
俺:「・・・??」(越したばかりでまだ他人を部屋に入れたことはない)

女:「●●さんですよね?5歳ぐらいの男の子がこちらにいらっしゃって・・・」
俺:「ええ?・・でも・・・あの」(俺は結婚もしてないし子供もいない)

俺:「・・・?間違いじゃないですか?」
女:「いえ、こちら●●市●●町2-35-XXXXX荘の203号室の●●さんですよね?」

俺:「はい、そうですけど・・・でも・・・」(越したばかりで親しい友人にさえ住所は教えてない、ましてや子供が訪ねてくるはずなど無い)

女:「市役所で住所は調べてきたんですけど」
俺:「はァ・・・」(調べて来たんか!!)

女:「うちの子、もう2年も帰って来てないんですよ」
俺:「は、はァ・・・???」

女:「すみません、失礼いたしました・・」
俺:「・・・(汗」

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