昔の友達の話。
友達はマンスリーのアパートに住んでいた。
そいつはとってもずぼらで、金にもだらしなかった。
友達はハムスターを飼っていたんだが、そのうちにだんだん増えてきて、臭いからとロフトで飼う事に。
エサは定期的にあげていたけど、ゲージからハムスターが逃げてしまい、ロフトに放置状態。
夜中になるとガリガリと柱をかじる音が聞こえるようになったそうだ。
よく赤ん坊が泣く声が聞こえたけど、かじる音で気が紛れると言っていた。
友達がエサをあげた時にちらっと見たら、三十匹くらいはいたらしい。
ロフトからぽろっとハムスターが落ちて来たりして、結構スリルがあったと言っていた。
ここまでが、友達から聞いてドン引きした話。
ハムスターのためにエサ代ちょうだいと言われたが、きっぱり断った。
ハムスターはかわいそうだったけど。
こっからはそのアパートに住む人から聞いた話。
金にだらしない元友達は、結局夜逃げしたらしい。
ハムスターがロフトを荒らし回り、その修理費も家賃も払えなくなったからだ。
とりあえず中を見に来た管理会社の人間は、中に入ったと思ったらすぐに出て来て吐いた。
しかも座り込んで泣いていた。
すぐに警察がやってきて、入った人間はやはり吐いたそうだ。
原因は腐った臭気・・・。
アパートの住人に聞き込みに来た警官からもかなり臭ったらしい。
元友達が住んでいた部屋はハムスターに荒らされ、ロフトの壁が壊され、そこから赤ん坊の遺体が一体発見された。
赤ん坊の遺体とハムの死骸で凄まじい状況だったそうだ。
しかし遺体は少なくとも五年以上前のものらしく、元友達とは関係なかった。
不思議なのは、赤ん坊がハムの死体をいくつかギュッと握っていたという。
それに管理会社の人間が踏み込んだ時、ハムの死体は握られていたのをのぞいて、ロフトの下で山積みだったそうだ。
ぐちゃぐちゃにたたき付けられたみたいに。
結局綺麗に清掃し、また貸し出しているそうだが、赤ん坊の泣き声とガサガサいう音がたまに聞こえて怖いと言っていた。
元友達はその後借金まみれで、追い込まれ泡に沈んだそうだ。