アメリカの学生の話。
彼には変わった友人がいるのだそうだ。
幼馴染みなのだが、小さい頃からUFOに夢中なのだという。
聞くところによると、UFOを信じる怪しげな団体にも入っていたのだとか。
友人はその団体の情報により、彼らの住んでいる町近くの山で、UFOがよく目撃されていたと知ったらしい。
早速、友人はUFOとコンタクトを取るために出かけた。
行動力は人一倍の友人に引き摺られる形で、彼も同行させられたのだという。
彼の親戚で樵をしている伯父さんがいたので、まずは現地調査から入ることにした。
UFOについて簡単な説明を受けた伯父さんは、事もなげに言い放った。
伯父さん:「昔はいくらでもいたぞ、そんな物」
小躍りしそうな友人と違い、彼はその言葉が引っかかった。
友人:「いくらでも“いた”だって?」
伯父さん:「ああ、空飛んでいたけど、あいつら間違いなく動物だったよ。耳障りな甲高い声で鳴いていたな。猟師が撃った鳥とか、時たま横取りしていたっけ。」
友人と二人して、思わずポカンと口を開けてしまったそうだ。
伯父さんは構わず続けた。
伯父さん:「成長して大きくなるにつれ、段々と飛べなくなるみたいだったよ。やっぱり重くなると浮かなくなるんだろう。地面に落ちたヤツはじたばたしていたけど、山犬や何かが咥えてどこかへ持って行ってしまった。多分、食べられたんだろうよ。さすがに人間が食ったって話は聞かないが。えらく生臭かったんでな。」
「見てみたい」と彼が訴えると、伯父さんは遠い目をしてこう語った。
伯父さん:「そう言えば近頃はまったく見なくなったな・・・。・・・山の中をハイウェイが通ってから、どんどん少なくなった風に思う。思うに連中、排ガスが苦手なんじゃないか?」
彼はこのことを思い出すたび、伯父さんに担がれたのではないか?という思いが頭の中をよぎって仕方がないのだという。
友人はショックを受けたのか、しばらくしてUFO信奉団体を脱退してしまった。
「その点では有意義な出来事だったけどな」と彼は言っている。
しかし、友人はいまだにUFOに取り憑かれている。
友人:「あの団体が信じられなくなっただけで、UFOを信じなくなった訳じゃない。」
友人はそう言って、今日も未知との遭遇を求めているのだそうだ。