昔々のNGな5人全盛時代のこと。
私は関西在住ですが、同人仲間と東京のイベントに行こうという話になりました。
東京の大手さんとの交流もあるとのことで、とても楽しみにしていました。
しかし前々から経過観察していた筋腫が体調を害するようになり、手術を受けることとなりました。
1週間入院し、退院後も一ヶ月間は自宅安静が必要です。
残念ながら不参加となってしまいました。
また次は行こうね!と言っていただき、イベント当日には手術も無事に終えて自宅でうつらうつらとしていました。
うつらうつらしながら、『もしもイベントに参加していたら・・・今頃どうしているのだろう・・・』などと考えているうちに、夢の中でふわふわと浮遊している状態になり、購入した同人誌がパンパンに詰まった紙袋を下げて会場を歩き回る自分の姿や、会ったことのない東京の大手さんや沢山の人たちを想像しました。
そのうち歩き疲れたので早く皆の所に戻って休みたいと思い、皆が和室に集まっているのが見え、早く行かなきゃと思うのですが、和室を囲む障子を通ることが出来ません。
私は何故か和室に入れないのです。
和室をL字型に囲む障子に遮られ、廊下をうろうろするだけです。
ふっと目が覚めました。
夢だったと気付きホッとするよりも、和室に入れなかった焦りと苛立ちが体に残っていて不快でした。
数日後、イベントに参加した友達がお見舞いに来てくれ、土産話をたくさん聞けてとても楽しいひとときでした。
しかし後に再び会った時に、少し怖い話を聞かされました。
イベントの翌日に大手さんと昼食会があり、和室に皆が集まって食事が始まりかけた頃、和室をL字型に囲む廊下を誰かが通ったそうです。
しかし人が入ってくることはなく、不審に思って見てみても廊下は無人。
しかしその場にいたうちのほぼ半数の人が、「障子を開けてある所から人が通るのが見えた」「両手に荷物を提げた着物姿の女性が通った」と証言したとのことでした。
私は母が遺した着物をよく着ています。
人と出掛ける時やイベントには洋服で参加しますが、一人の時は着物です。
彼女はクリーム色の着物を着た人影をハッキリと見て、「私子ちゃんの振り袖だ」と思ったそうです。
とりあえずその場はお店の従業員だろうということで収まったようですし、実際にそうだと思います。
他のお客さんかもしれません。
この幽霊話は今も時々思い出されては、私の生き霊か?とネタにされています。
真相はわかりません。
ただ障子の向こうの廊下は、その先で行き止まりになっていたそうです。