新築物件ってのは霊が出るなんてことはなかろう、と思ってたらそんなことなかった。
その新築賃貸マンションは駅から近いこともあって、オープンと同時にすぐ全室入居だった。
俺たち夫婦も借りて住むことになった。
1週間程してからだろうか、毎晩深夜2時頃「コツーン。コツーン。」と甲高い感じの足音が聞こえるようになった。
そのうちその階層の住人同士でも話題になり気味悪がられた。
住人の中には正体を突き止めようとビデオカメラを設置したりもしたが何も映っておらず、ますます気味悪がられることに。
音がするようになり2週間もすると、住人も深夜2時頃になると神経を尖らせるようになり、その中でとある住人が「足音、もしかしてベランダ側からしてませんか?」と意見が。
いや、それはありえない。
俺たちの借りてる部屋は三階なのだから・・と思いつつも、その晩はベランダ側にも注意して神経尖らせた。
そしてまた深夜2時・・・。
「コツーン。コツーン。」
例の足音が聞こえだした・・と同時に、「キャー!」と遠くで悲鳴が!
続けざまに、「うわ、わわわああ!」「ぎゃああああ!」とこれまた悲鳴が!
どうやら奥の部屋の住人が次々悲鳴を上げているらしい。
「コツーン。コツーン。」
そして足音は俺の部屋の前に・・・。
たしかに足音は廊下ではなくベランダから聞こえるような気がする。
食い入るようにベランダを注視する俺と嫁。
やがてベランダに現れたのは・・・看護婦っぽい人!?
その看護婦っぽい人がこちらを見てニタァと微笑みかける。
同時に嫁の絶叫!
満足そうな顔して看護婦っぽい人はどうやら隣の部屋のベランダへ、しばらくして隣の部屋からも絶叫が・・。
結局その階の住人全員が絶叫の渦へ。
翌日から不思議なことに、足音もしなけりゃ看護婦っぽい人も現れなくなった。
通りすがりの悪戯好きな看護婦の霊だったのでは・・と住人の皆で思った。
オチは無い。