死んだ人間に話しかけていた

カテゴリー「日常に潜む恐怖」

某鉄道会社で運転士をしているんだけど、1年前に初めて人身事故に当たった。

夕方5時過ぎで辺りは既に真っ暗だった。
現場は踏切で直線なんで100km/h程度出てる区間。
100m手前あたりで人が入ってきて、「あっ!!」と思ってすぐに非常ブレーキをかけた。
とっさに「直前横断!?」と思ったけど、線路の真ん中まで来て止まった。

警笛を鳴らしても動く気配なし、何よりこっちを見てるのに全く動かないのが怖かった。
数秒がやけに長く感じた後、足元から「ゴンゴンッ!」とかなりの音がした。

「うわー、当たった」と思うも列車はなかなか止まらなくて、現場をだいぶ行き過ぎてようやく止まった。

すぐに無線で関係箇所に報告して現場にダッシュ。
車掌もすでに降りてて車体の下を覗き込んでいた。

近くに鞄が落ちてて少し先には腕らしきものが落ちていたが体が見つからなかった。
懐中電灯で車体下を照らしながら少し戻ると、台車(タイヤ)の奥で若い女の子がじっとこっちを見ていた。

目が合って一瞬「え、誰?」と思った。
すぐにそれが自分のはねた人だと気づいて、心臓が止まりかけた。

生きてる・・?

そう思って何度も声を掛けたが返事がない。
ただじっとこっちを見ている。

大声で車掌を呼びながら、ふと奥の方を照らした瞬間、初めて胸から下が無いことに気がついた。
生きてる訳がなかった。
その後警察が来ていろいろ調べた結果、大学生で自殺と判明したけど、今でもあの時、自分は死んだ人間に話しかけていたんだと思うと怖くなる。

ブログランキング参加中!

鵺速では、以下のブログランキングに参加しています。

当サイトを気に入って頂けたり、体験談を読んでビビった時にポチってもらえるとサイト更新の励みになります!