窓を開けない理由

カテゴリー「心霊・幽霊」

古い6階建てのビルに住んでる友人(A)から聞いた話。

そのビルはAの親戚が、Aの生まれるずいぶん前に建てたビルらしくて、安っぽいスナックとかが入居してる。
Aの父親がそのビルをいくらかで譲ってもらって、ちょうど空いていたビルの5階に家族で住んでいた。

Aの部屋でゲームをして遊んでたんだけど、部屋の窓側を塞ぐように箪笥やら本棚やらが配置されてて開けられないようになってる。
不思議に思って訊いてみると、「この窓は開けないから別にいい」らしい。

確かに窓のすぐ隣には、このビルより高いビルが建ってて、Aの住んでいるビルとは2mくらいの隙間しかない。
当然、太陽光なんか差し込まないし、空気もよどんでいるから、たしかに開ける必要のない窓だった。

Aの住んでるビルが建って数年後に隣にビルが建ってしまったので、この窓が使われたのはほんの数年だけなんだとか。(当然隣のビルの壁には窓はない)

「そっかー」
なんて納得しつつゲームを続けると、画面を向いたままAが「それに外を変なのがうろつくから」って言う。

こいつ意味不明なことを言うなと思って、「はぁ?うろつく?5階の外を?」って訊ねると、Aが変な話を聞かせてくれた。

Aはその日も、学校から帰って夕食を食べた後、時間が経つのも忘れて夜遅くまでゲームをしていたらしい。
すると部屋の窓がバタンッ、バタンッって音を立てた。

なにかがぶつかったような音。

慌てて窓のほうを確認すると、窓ガラスに変な跡がついている。
大掃除以来ずっと開けていないせいで、外側がほこりまみれになった窓に手形がついてる。

よく幽霊話とかで聞くように、オバケが窓を叩いたのかと思うと物凄く怖くなって窓の方を向いて固まっていたらしい。
そしたら今度は、外からビタビタビタビタビタビタビタって音がものすごい勢いで近づいてきたと思ったら、また窓がバタンッ、バタンッって鳴る。
それからまたビタビタビタビタって音がビルの上のほうに向かって小さくなっていったらしい。

Aがほんの一瞬だけ汚れた窓ガラス越しに見たというのが、頭と同じくらいしかない小さな胴体から4本の腕が生えた奴が、ニヤニヤしながら、腕をつっかえ棒みたいにしてビルとビルの間を移動している姿。
窓の上を通るときにバタンバタン、コンクリートの上を通るときにビタビタって鳴っていたらしい。

それ以来、寝ている姿をのぞかれたらどうしようとか、目が合ったら狙われるかもしれないだとかいろいろ想像してしまって家具を窓側に配置して隠しているんだとか。

この話を聞いたときは、そのビルがもの凄く怖くなってその日はビルの外までAに送ってもらった。

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