同僚の話。
山中で測量をしていた時、不気味な物を見つけて腰を抜かした。
谷の間に綱紐が長く渡されて、そこに人の首が何個もぶら提げられていたのだ。
勇気を振り絞って調べに近寄ると何のことはない、すべてマネキンの首だった。
同僚:「まったく趣味の悪いことをする。心臓に悪いじゃないか!」
よく見るとその一角は、かなりの範囲が綱紐によって四角形に囲まれていた。
首で結界を張っているようにも見える。何かのお呪い(おまじない)だろうか?
事務所に帰ってから上司に報告すると、あっさりと言われた。
上司:「そりゃぁ猪除けだよ。あの辺りじゃ昔からやってるとこが何軒かあるな」
他の同僚にも同じことを言われたが、彼は浮かない表情だ。
同僚:「だって囲まれてた中は、明らかに畑なんかじゃなかった。普通の森だったんだ。それにな、ある一方向の首に限ってだけど・・・皆ズタズタにされてた。猪がそんなことするかな・・・」
彼が次にそこを訪れた時には、既に怪しい結界はなくなっていたという。