親父は昔から知っていた

カテゴリー「不思議体験」

自分は12歳位まで、親父と一緒に山に入って茸取りを手伝っていた。
と言っても、ガキの自分が茸を見付けられる訳もなく、歩き回って迷いそうになって親父に迷惑をかけるだけだった。

ある日、毎回の様に歩き回っていて、フト顔を上げると約20m先に変な物があった。
それは、岩みたいだけど赤く、だけど粘膜みたいのでテカテカして収縮していた。
それはこっちに少しずつ近ずいて来ていた。

俺は親父に「あれなに?」と尋ねたところ、今まで茸探しに目を輝かせていた親父の顔が豹変して、今までに採った茸を全て『ソレ』に向かって投げつけ、俺の手を強く掴みながら走り出しました。

手を引かれながら振り返り『ソレ』を見ると、親父の投げた茸を触手で取り込んでいるところでした。
帰りの車の中で親父が「今日みたアレは忘れろ」と恐ろしい顔で言うので、自分は何も言えませんでした。

それから何年も経った今でも親父は教えてくれません。
アレは何だったんでしょう?

日本アルプス周辺。
親父は健在です。

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