昔付き合ってた彼女が看護師で色んな話を聞いたけど、一番怖かったのが「手術室に出る幽霊」の話。
短時間の手術だと出ないんだが、長時間の手術だと突然沸いてきてサッと横切ったり、医師の真後ろに立ってたりするらしい。
複数の医師から苦情が出て盛り塩をしたりお祓いをしたりしたが効果がなく、当然、医師だけが見る幻覚じゃなく、複数の看護師も目撃したり気配を感じたりしている。
結局、大規模修繕の時に内部を色々かえてその手術室を回復室に変更したらしく、その後は途絶えた。
飲みにいった時に医師が「あの手術室の奴は、悪意がある」と言っていた。
長時間の難しい手術の時にだけ表われて医師の集中力を削いで、手術を失敗させようという意志が見えてるところがマジで怖い。
こんなんで殺されたらかなわんわ。
あと一つ個人的に怖かったのが、身内のいない末期がんの患者。
Aはオッサンで独身で身内が誰もおらず、末期がんの患者にありがちな、態度の硬化と看護師、医師への八つ当たりが酷くなり、Aさんは二言目には「俺が死ねばいいと思ってるんだろ!」と怒鳴りつけるようになっていった。
ある日、彼女が夜勤の見回りをしてNS(ナースステーション)に帰ってきた時、突然、NS近くの部屋(緊急度の高い患者が入る部屋)の方から「俺が死ねばいいと思ってるんだろ!」と怒鳴る声が聞こえた。
新入りが何かやらかしてAさんを怒らせたのか!?と思って部屋に足をいれた瞬間、その日の午前中にAさんが亡くなっていたことに気付いた。
部屋の中はその日は誰もいないはずなのに誰か(何か?)がいる気配がした。
そして今度は「俺が死んで嬉しいんだろ!!」と声が聞こえたので「そんなことないですよ。Aさんから聞いた海外のお話とか面白かったしもっと聞きたかったですよ」と答えると、その気配がふっと消えたらしい。
それで成仏したのかと思いきや、その後、似たような話を別の夜勤担当の看護師が言っていて
夜勤のナースたちは「Aさん、また出るかな」「さっさと成仏すればいいのにねぇ」と言われるようになったとか。
死んだ後まで「看護師に構って欲しい」「死んで欲しくなかったといわれたい」という承認欲求を持ち続ける50過ぎたオッサンの存在が怖かった。
つーか、案外幽霊ってその「承認欲求」から来るものだったりするんかねぇ。