小学三年の夏休み、お盆に母方の祖父ちゃん家へ帰ったときのこと。
祖父ちゃんの家はケーブルテレビに加入しており、見れることを俺は知っていたので、夜、家の皆が寝静まるのを待ってひとり居間のテレビでエキサイトしていたら二時を回っていた。
全然眠くはなかったけども、これ以上起きているのは小学生の世界観ではありえないことだったので流石に寝ようということに。
我々一家の布団は仏間の隣に用意されていて、俺もひんやりした布団に潜り込んで目をつぶった・・・・・・んだけど、なんと真っ暗闇の仏間からポクポクと木魚をたたく音が聞こえてくるではないか。
これはいけませんよ・・・と思い親父を揺り起こし、そのことを訴えると親父は「時計の音だろ」と言ってまた寝入ってしまった。
音がやってくるのは仏間からなのだし、第一時計の音とは間違えるはずもないんだけども。
次に母を揺り起こしたが母も「そんなものは聞こえない」と言って相手にしてくれず・・・。
俺はただ布団をひっかぶり、両手を耳に押し当ててガタガタ震えるしかなかった。
それでも聞こえてくるんだこれが。
でもまあ、なんとか眠れたらしく、気付いたら朝よ。
光の世界よ。
時計は十時半を指してる。
心底安堵した。
そいで、祖母ちゃんの用意してくれた朝飯だか昼飯だかよくわからんものを食いながらニュースを見てたら、祖母ちゃんが隣に座って俺に「大丈夫か」などと聞いてくる。
話を聞けば、どうも俺は明け方に廊下を「うーうー」言いながら徘徊していたらしい。
俺は全然そんなこと憶えてないわけで。
いよいよもって俺は震え上がり、怖い!怖いよ祖母ちゃん!僕もう夜眠れないよ!とすがりつくと、「大丈夫、今夜からはばーちゃんが一緒に寝たげるで!」との頼もしい返事。
しかし、祖母ちゃんはイビキが凄まじく、結局我が家に戻るまで俺は満足に眠れなかった。