うちは親がすごい戦争反対思想みたいのがあって、子供の頃、私の読む絵本は「おこりじぞう」や「かわいそうなぞう」などでした。
悲惨さの程度もよく分からないくらいのチビだったので、ただ親に絵本読んでもらうのが嬉しくて、気に入って毎日のように繰り返し読んでもらってた。
年月が経ち、そんなこともすっかり忘れて小学校生活を送っていたのですが、あるとき、学年が変わってすぐに前年の教科書だかノートだかが必要になって、学校から帰宅してすぐ家の物置漁ってたら、置いてある本棚に「おこりじぞう」を見つけたのでした。
『あーなんかこれ好きだったな~』と、そんな程度の感覚で絵本を開いた。
子供のくせに「なつかしいな~」とか生意気にねw
この時の衝撃は今でも忘れないけど、・・・あの絵本って描写がかなり壮絶ですよね。
たぶん小学校三~四年だったけど、あまりに怖くてちょっとパニック気味だったと思う。
でもなぜかページをめくる手が止まらないんだ。
もう読みたくないのに・・・。
この辺からなんかおかしかった。
それで、クライマックスというか・・・あのお地蔵さんの怒ってる顔のページになったとき、灰色のお地蔵さんの絵の塗りの部分に同じような色の髪の毛が一本、10センチくらいの長さだったかな?挟まってたのに気づいた。
普通にそれを、指でサッて払おうとした。
すると指とその髪の毛が摩擦した瞬間に、それが三本くらいに増えた。
「???」となってまたそれを払うと、さらに十本くらいに増え、気づくと、怒った地蔵の顔は灰色の髪の毛にまみれていた。
髪の毛にまみれながら、ものすごい形相のお地蔵さんが私を睨んでた。
その上を、もうほとんどなんの意味もなしてないのに、私の手が何度もそれを払おうと空振っている。
たぶんパニックになってたんだろう。
記憶の中で音がザックリ抜けてる。
映像しかない。
そのまま本を閉じて本棚に突っ込んで、走って隣家のじじばばの元へ行った。
・・・という、最近急に思い出した話でした。